花粉症に「最強の薬」はない。それぞれの薬の違いと正しい選び方|保存版
例年より花粉の飛散量が多いと言われる今年。鼻水や目のかゆみがすごくて、花粉症の薬なしでは過ごせない、という人も多いのではないでしょうか。
でも、飲んでいる薬が効いているのかどうか、よくわからなったりしますよね? ネットで調べてみても、サイトごとに言っていることが違っていたりします。
そこで、『薬の比較と使い分け100』(羊土社)の著者薬剤師の児島悠史さんに、自分にあった花粉症の薬の選び方について教えてもらいました。
まず児島さんが指摘するのは、花粉症の薬の効き目にほとんど差はないということ。
「花粉症に使う薬(抗ヒスタミン薬)には色々な種類の薬があり、それぞれ理論上の細かな差はありますが、得られる効き目に大きな差はありません。
これまでに行われた臨床試験で、際立ってよく効く「最強の薬」が見つかったこともなければ、「薬の効果はA>B>C>Dだ」と明確な序列がつけられたこともなく、概ね似たような効果であることがわかっているからです」(児島さん、以下同じ)
インターネット上でよく見る、薬の効果や副作用を比較する「マッピング図」も科学的な根拠はほぼないそう。
「薬の細かな差よりも、飛んでいる花粉量や薬を正しく飲めているかを気にする方が建設的です。たとえば、花粉が飛び始めた頃から薬を飲んでいるか、症状が酷くなってから薬を飲み始めたかによって、体感できる効果は大きく異なります。
また、『アレグラ』はグレープフルーツジュースなどと一緒に飲むと吸収が悪くなるなど、食事状況によっても薬の効き目は影響を受けます」
児島さんが特に注意を促すのは、いま主流の第ニ世代の抗ヒスタミン薬は、「花粉飛散予測日」もしくは「症状が少しでも現れ始めた日」から飲んでおくことが推奨されている、ということです(鼻アレルギー診療ガイドラインより)。今年、花粉症が酷いと感じた方は、来年は薬を飲み始めるタイミングを意識したいですね。
ちなみに第一世代と第ニ世代の違いって何なのでしょう?
「第一世代は古くから使われている薬で、速効性や鼻水を止める作用に優れていますが、眠気が強く、便秘・口の乾き・眩しさといった副作用も多いんです。一方、第二世代は新しい薬で、眠気などの副作用が少なく、現在の鼻炎治療の主流として使われています」
ただ、色々と例外もあるそうなので、次に詳しくご紹介していきます。
効き目に違いがほとんどないという花粉症の薬。ただ、副作用には色々と違いがあるようです。以下に、有効成分の副作用別に分類してみました。
【眠気の出やすさ】
●鎮静性(眠くなりやすい)
・クロルフェニラミン(医療用『ポララミン』など)※第一世代
・ジフェンヒドラミン(医療用『レスタミンコーワ』など)※第一世代
・ケトチフェン(医療用『ザジテン』、OTC『ザジテン』など)※第二世代
●軽度鎮静性(やや眠くなりやすい)
・アゼラスチン(医療用『アゼプチン』、OTC『ムヒAZ錠』など)※第二世代
・メキタジン(医療用『ゼスラン』、OTC『ストナリニ・ガード』など)※第二世代
●非鎮静性(眠くなりにくい)
・フェキソフェナジン(医療用『アレグラ』、OTC『アレグラFX』など)※第二世代
・ロラタジン(医療用『クラリチン』、OTC『クラリチンEX』など)※第二世代
・エピナスチン(医療用『アレジオン』、OTC『アレジオン10』など)※第二世代
・エバスチン(医療用『エバステル』、OTC『エバステルAL』など)※第二世代
・セチリジン(医療用『ジルテック』、OTC『ストナリニZ』など)※第二世代
【口の乾き・便秘・眩しさといった副作用の出やすさ】
●抗コリン作用の強い薬(副作用が出やすい)
・クロルフェニラミン(医療用『ポララミン』など)※第一世代
・ジフェンヒドラミン(医療用『レスタミンコーワ』など)※第一世代
・メキタジン(医療用『ゼスラン』、OTC『ストナリニ・ガード』など)※第二世代
●抗コリン作用の弱い薬(副作用が出にくい)
・フェキソフェナジン(医療用『アレグラ』、OTC『アレグラFX』など)※第二世代
・ロラタジン(医療用『クラリチン』、OTC『クラリチンEX』など)※第二世代
・エピナスチン(医療用『アレジオン』、OTC『アレジオン10』など)※第二世代
・エバスチン(医療用『エバステル』、OTC『エバステルAL』など)※第二世代
・セチリジン(医療用『ジルテック』、OTC『ストナリニZ』など)※第二世代
・ケトチフェン(医療用『ザジテン』、OTC『ザジテン』など)※第二世代
・アゼラスチン(医療用『アゼプチン』、OTC『ムヒAZ錠』など)※第二世代

どの花粉症薬も効き目に大差はない

副作用には色々な違いがある

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