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「めちゃイケ」の涙と「みなおか」の潔さ。対極だった2大バラエティの終幕

 4月に入り、新しい生活がスタートした人も多いと思いますが、フジテレビの長寿人気バラエティ『とんねるずのみなさんのおかげでした』と『めちゃ×2イケてるッ!』がそれぞれこの3月で終了したことは記憶に新しいことでしょう。

「情けねえ」の熱唱に込められたとんねるずの想い

とんねるずのみなさんのおかげでした

「とんねるずのみなさんのおかげでした」フジテレビ公式サイトより https://www.fujitv.co.jp/minasan/

 3月22日に最終回を迎え、前身番組である『とんねるずのみなさんのおかげです』(※単発のスペシャル版は1986年に初放送)から数えて30年の歴史に幕を閉じた『おかげでした』。  最終回がレギュラーと同じ1時間の放送枠だったのは意外でしたが、「さいごのうたばん」のゲストに野猿のメンバーと松田聖子を迎え、終始リラックスしたムードでトークを繰り広げました。 『おかげです』といえば、さまざまなキャラクターを生み出したアドリブ性あふれるコントが有名ですが、番組の初期はゲスト歌手が歌を歌うコーナーが必ずあり、エンディングに2人が『星降る夜にセレナーデ』を歌って終わる、というスタイルが定番でした。  そのことを改めて思い出させるかのような最終回。番組が終わるからといって決して感傷的にならず、最後に自らの代表曲である『情けねえ』を堂々と歌い上げたとんねるず。多くを語らず、視聴者への一礼で終わった2人の「潔さ」は、とてつもなく格好良く映りました。

最後まで「愛」に満ち溢れていた『めちゃイケ』

『めちゃ×2イケてるッ!』公式HPより(http://www.fujitv.co.jp/MECHA/)

『めちゃ×2イケてるッ!』公式HPより(http://www.fujitv.co.jp/MECHA/)

 一方、3月31日の放送で終了した『めちゃ×2イケてるッ!』。深夜番組の『とぶくすり』からゴールデンに進出し、22年間という長きに渡って伝統のバラエティー枠「土曜8時」を守ってきました。 『めちゃイケ』の魅力はなんといっても、バラエティである一方、ナインティナイン、よゐこ、極楽とんぼといった出演者たちの22年間の成長物語でもあるところ。最後のスピーチで岡村隆史は番組のことを「青春」と言い涙を流しましたが、『めちゃイケ』はまさにバラエティ版『北の国から』とも言える彼らの壮大な人生の記録でした。 『めちゃイケ』が『めちゃイケ』たる大きな要因のひとつとして、番組の演出からテロップ書き、編集まで手がける総監督・片岡飛鳥氏の存在が挙げられます。  筆者は今から17年前に『週刊SPA!』でインタビューする機会がありましたが、バラエティ番組制作に誇りを持ち、命をかけている氏の目からは「狂気」を越えて「殺気」すら感じました。逆にいえば、それくらいの覚悟がないとこれだけのものはつくれなかったでしょう。  5時間におよんだ最終回。最後にメンバーたちのスピーチを取り上げ、良くも悪くも「涙」を前に出した演出に対しても、明石家さんまがしっかり笑いに変えてくれました。  キャスト・スタッフの「絆」とも言える信頼関係が魅力だった『めちゃイケ』らしい最後だったと思います。
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バラエティーが大きく変化していくかも
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