松坂桃李にとってセックスとは?18禁映画『娼年』で男娼を演じて知ったその力
娼夫になった大学生リョウが、さまざまな女性たちとのセックスを通じて成長を遂げていく。石田衣良さんの恋愛小説を、2016年の舞台版に続き、三浦大輔監督(『愛の渦』『何者』)×松坂桃李さんの再タッグで映画化した『娼年』が公開。
舞台版の終演後には「もう二度とこの役はできない」と言っていた松坂さんが、映画で再び挑んだ本作の世界を振り返り、結婚観やセックス観についても語ってくれました。
――出演を断るという選択肢はなかったのでしょうか。
松坂:ないですね。ラッキーだなって思いました。原作は10年以上前に発表されたもので、何度も映画化などのお話が持ち上がっては沈んでいたそうなんです。それが、いまこのタイミングで僕にお話しをいただけたのは本当にラッキーだなと。30代になってからのことを考えても、(役者として)いいきっかけになると思いました。
ただ映画化にあたっては、三浦さんも舞台から、より高いハードルをかけに行くとお話されていて。より繊細な、もっと潜った芝居を要求されて、メンタル的にも体力的にも、削られていく毎日でした。家に帰るとスイッチがオフになってしまうので、撮影の期間中は、ビジネスホテルに泊まって、常に翌日の撮影のことを考えていました。
――いろいろな欲望の形が描かれますが、特に驚いたシーンなどはありましたか?
松坂:シチュエーション的に印象深いのは、おしっこのシーンとか。あとは、西岡徳馬さんが旦那さんを演じていたご夫婦ですかね。めっちゃ笑いますよね。
――あ、あれはやっぱり笑っていいんですね。
松坂:あれは、笑っていいんです(笑)。
――本作を経て、結婚観に変化が生じたりしていませんか?
松坂:変わってないです。結婚したいですよ。僕の周りでは、柳楽優弥とか濱田岳が結婚していて、早くこっちに来て一緒に話してよと言われます。会話できる人があまりいないらしくて。
――仲良しの岡田将生さんとはどちらが先に結婚されるでしょうね。
松坂:たぶん、僕のほうが先だと思う! 将生は結婚できないでしょ。僕も同じこと言われるだろうけど(笑)。
――さて、松坂さんが演じたリョウは、すべてを「つまらない」と言って生きていましたが、娼夫になって以降、すごく物事を柔軟に受け入れていく優しい青年になっていきました。
松坂:基本的に、リョウは大きい海のような青年だと思うんです。でもその海の広さに気づかずに生きてきた。それが、いろんな人に出会い、自分の海を泳ぐことによって、海の広さを知っていった。そしてその海に興味が沸いて、深く潜っていく。そんな感じに近いのかなと思います。
――ずばり、セックスとはどんなものだと思いますか?
松坂:柔らかいものの提示のし合い、ですかね。自分の中心部にある、欲望なのか本能なのか、とにかく自分の真ん中にある繊細で柔らかい部分の提示のし合いだと思います。
――それを提示し合うことで、たとえば『娼年』のように、抱えていた傷を癒すことにも……
松坂:繋がったりすると思います。人に聞かれたくない、見られたくないと思っていた部分をいざ出してみることで、解放的になれたり。鎧を取ることによって、こんなにも気持ちが軽くなるんだよという、力を持っているのかなと思います。
リョウ役のオファーは「ラッキーだなって」
リョウは大きい海のような青年
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『娼年』は4月6日よりTOHOシネマズ新宿ほかにて全国公開
配給:ファントム・フィルム
配給:ファントム・フィルム