ヒトラー崇拝者に家族を殺された女性の「決断」とは。カンヌ受賞女優にインタビュー
欠点を人に見せれば見せるほど、人は心を開いてくれる
――若い頃、ロンドンでバレリーナを目指すなかで怪我をし、夢を諦めざるを得なくなったダイアンさんですが、その後、モデルに転身してパリで活躍し、現在はヨーロッパとアメリカを股にかけた役者人生を歩んでいますよね。グローバルに活躍するダイアンさんの成功の秘訣は?
ダイアン:成功の秘訣については語れませんが(笑)、役者として学んだことはあります。人生経験を積むこと、正直になること、たくさん欠点をもつこと。自分にたくさん欠点があればあるほど、そして、欠点を人に見せれば見せるほど、人は心を開いてくれます。そうすれば、たくさんの人と心でつながることができます。
ようは、人と自分の間に“壁”をつくらないこと。とはいえ、自分の痛み、哀しみ、恐れを人に見せるのは辛いですよね。だから、わたしたちは本能的に自分の壁をつくりがちなんですが、役者は他人の前で“心を裸”にするのが仕事です。そのせいか、歳を重ねるうちに、他人が自分をどう思うか気にならなくなってきたんです。私の周りでステキに歳をとっている人は、とても素直で心を開いてくれる人が多いように感じます。
――この映画を観る観客に何を感じてほしいですか?
ダイアン:この作品は、テロリズムの“鏡”のような役割を果たしていると思います。この映画で描かれていることは、現実に私たちの社会で起こっているということを知ってほしい。そして、生きていく上で、私たちがお互いに対してもう少し優しくなれれば、このような問題は減っていくんじゃないでしょうか。
また、本作はネオナチが題材ですが、世界中に共通する“母親の哀しみ”を描いています。国籍や文化を超えて、日本の皆さんが本作の“エモーション”を心で感じてくださったら幸いです。
(C)2017 bombero international GmbH & Co. KG, Macassar Productions, Pathe Production,corazon international GmbH & Co. KG,Warner Bros. Entertainment GmbH
Hair:Dai Michishita
<TEXT/此花さくや>
⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】此花わか
ジェンダー・社会・文化を取材し、英語と日本語で発信するジャーナリスト。ヒュー・ジャックマンや山崎直子氏など、ハリウッドスターから宇宙飛行士まで様々な方面で活躍する人々のインタビューを手掛ける。X(旧twitter):@sakuya_kono
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『女は二度決断する』は4/14(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町 新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国で公開中



