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目が見えない人向けのフラワーアレンジ講座で発見したこと

「花を愛(め)でる」と言いますが、みなさんは花をどうやって愛でますか? 匂いをかいだり、華やかな色を楽しんだり。多くの場合は、「目で見て」楽しんではいないでしょうか。  ところがこのたび、視覚に障がいのある方たちのフラワーアレンジメント講座があるというので行ってきました。 フラワーアレンジ講座

視覚抜きでフラワーアレンジができるの?

 目が見えなくてもフラワーアレンジができるの? どうやって?  会場に集まったのは、参加者・ガイドヘルパーさん・ボランティアのサポートスタッフなど、20名ほどのさまざまな年齢の女性たちと、盲導犬が1頭。  長テーブルの中央にお花を挿した花瓶が置かれています。  目の前には、オアシス、花瓶として使うケース、はさみが用意されています。 花瓶 講師は、オランダのマスターフローリスト、ドリーン・ローリン氏に学んだ大竹淳子先生。先生は、フラワーアレンジメントの他に、視覚障がい者も健常者も一緒に楽しめるヨガクラス「にじいろヨガ」の主催もされています。  まず、先生が花を1つずつ花瓶から取り出し、説明をします。 「今からお渡しするのは、スプレー菊です。薄い紫の花がたくさんついています」  先生が花の名前と花の色を教えてくれ、実際に1本ずつ手渡してもらって触れていきます。  みんな、隣から渡されたお花を大切そうに触れていき、柔らかい花びらに触れると、「あ、可愛い!」と感嘆してしました。何かを手で触れて「かわいい」と感じたことがないので、とても新鮮に感じます。 花に触れる ガイドさんたちは、個々に「花びらの中心は色が薄く、縁に向かって濃くなっている」「小さな花がたくさんついています」というように、細かくお花の説明をしています。そうしてみなさん、どんなお花をどんなふうにアレンジするか、想像を膨らませていくようでした。

目をつぶって初めて気づいた、花の手ざわり、香り…

 私も実際に目をつぶって花を触ってみました。  ガーベラのような大きなお花は、枝の先がずっしりと重く感じられます。柔らかい花びらの花、固くて小さな花びらの花、目で見ただけでは気にも留めなかったことを、次々と感じました。  私は今まで、目で見るしか花を愛でていなかったのですね。  花はカップケーキ用の紙カップに入ったオアシスに挿していきます。それをプラスチックのおしゃれなケースに入れて完成です。  アレンジメントは丈の短いもののほうが、長いものよりも扱いやすいそうです。この会では、こうした小さな気遣いや工夫がいくつもちりばめられていることがわかります。 花を切る 一通り花を手で触ったら、次ははさみで切っていきます。  ここにもひとつ工夫が凝らされていて、講師の先生からピンが渡されました。これと同じ長さに切ってくださいとのことです。こうして手で触って長さを測れるとわかりやすいですね。  私は「清楚」をテーマにして、白を基調にしてアレンジしてみました。  花を持ってきて、はさみで切り、ある程度たまったところでオアシスに刺していきます。  ここでも試しに目をつぶってやってみました。  手で触って花の形を確かめて、大きさや柔らかさを確認、手でオアシスを触って、空いているところに花を挿していきます。……意外とできる。……そして楽しい!!  挿した花を上からポンポンと触れて、アレンジメントの形を確かめます。 白いブーケ ちゃんとアレンジになっていました!!  実際にやってみると、気づくことがたくさんありました。  目で見る以外にフラワーアレンジメントを楽しむことができるのかと最初は疑問でした。でも目をつぶっただけで、情報入手の方法がガラッと変わります。手で触って、香りを嗅いで、それで花の愛らしさ、美しさを充分感じることができました。しかも、普段は気にかけることもない重さやバランスまで感じます。花は可愛い……可愛いんです!! 箱入りブーケ そして、花を切るはさみの感覚、オアシスの重さ、水を含んだ冷たさ、サクサクと茎を指す感触、どこに挿そうか考えること。創作はとにかく楽しい作業なんです。 「目が見えなくてもフラワーアレンジメントをして楽しいの?」という疑問があるでしょうか。  答えは「めっちゃ楽しい!」です。  東京ヘレン・ケラー協会点字図書館の「メイク女子会」では、ほぼ毎月、メイクセミナーやヘアアレンジ講座、フラワーアレンジメントといった、視覚に障がいのある女性のためのイベントや情報交換会を開催しています。場所は、東京都新宿区です。周囲で興味のある方がいたら、ぜひ教えて上げてください。 <TEXT/和久井香菜子> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
和久井香菜子
ライター・編集、少女マンガ研究家。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。英語テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。視覚障害者によるテープ起こし事業「ブラインドライターズ」運営
●詳細や参加希望は、東京ヘレン・ケラー協会点字図書館(小倉)03-3200-0987 まで。




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