会社って洗脳の場?カリスマ社長の信者だらけの職場がウザい
就職先を選ぶ際、経営者に惚れ込んで就職先を決めた! という人も多々いることでしょう。
今回はそのような『カリスマ経営者』のいる会社に勤務していたという、ミユキさん(仮名・27歳)に話を聞いてきました。
教育系の会社に入社したミユキさんは、入社当時についてこう語ります。
「私は会社の商品やサービスに興味があって入社をしたのですが、ほとんどの同期は社長のカリスマ性に惚れ込んで入社を決めていたようでした。
社長がカリスマ経営者ということは知っていたのですが、男女問わず『社長に憧れている』とか『社長の元で学びたかったから入社をした』と言っていて驚きましたね」
ミユキさんは続けます。
「最初はそういう話を聞いても『へー、社長ってそんなすごい人なんだ』と思うくらいだったのですが、新人研修でいきなり『社長の著書の中で好きなものを2つ選んで、感想文を提出してください』と言われて衝撃を受けました」
どうしたのでしょうか。
「読んでいる前提で言われたので、研修後に慌てて本屋に行き、購入して読みました。でも強制して読まされれば読まされるほど、嫌気というか冷めてくる自分がいましたね。でも新人研修ですから、無難に感想文を仕上げて提出しました」
感想文を仕上げて安心したミユキさんに、さらなる悲劇が訪れます。
「感想文を元に、グループディスカッションをしろと言われてあせりました。自分以外のメンバーの社長への熱量がとにかくすごいんです。数時間のディスカッションで社長への熱い思いをぶつけあっていました。私は完全にアウェーでしたね」

とはいうものの、そんな社長アゲも新人研修で終わるだろうとミユキさんはたかをくくっていたと言います。
「配属後のデスクの上に、社長の最新著書が置かれていてひっくり返りそうになりました。さらには業務で困ったことや問題が起こると『社長からヒントをもらおう!』と先輩が本気で社長の著書を読み返しはじめたんです」
ミユキさんの心中はどのようなものだったのでしょうか。
「正直ひいていましたね。他人の考えに口を出すつもりはありませんけど、心酔しすぎだし、なんだか宗教のように思えました」
その後、ミユキさんはその雰囲気についていけず転職をしたと言います。

「退職してから元同僚と飲んだんですけど、冗談まじりに『まだ〇〇社長の本を読んで感想を言い合ったりしてるの?』って聞いたら超まじめに『え? そうだよ?』と、なぜそんなことを聞くの? あたりまえでしょ? 的なニュアンスでかえされました。さらに最近は朝礼でみんなで著書を読んでいるそうです」
ミユキさんはそれ以上、元同僚になにも言えなかったといいます。
「会社ってある意味洗脳ですよね」と遠い目をしながらつぶやいた、ミユキさんの言葉が忘れられません。
―シリーズ 会社のヘンな「しきたり」 vol.5―
<文/瀧戸詠未 イラスト/鈴木詩子>
カリスマ経営者への思いがとまらない同僚たち
社長のカリスマ性は研修から発揮される


カリスマ経営者の影は永遠に
