ハデな生活に疲れた“港区女子”が東京脱出。海辺でつかんだ本当の幸せとは?
東京タワーが見えるタワーマンション、西麻布の会員制バー、高級ホテルで女子会……。
「そういうものに全部、疲れちゃったんです」そう語る山岡真美さん(仮名・30歳)。つい数年前まで、それらの遊びを港区界隈(かいわい)でしていた元・港区女子です。
そんな真美さんに転機が訪れたのは3年前の初夏でした。
「彼の奥さんに私との関係がバレてしまって……家まで知られてしまったので、逃げるようにマンションを出ました。とりあえず都内の実家に戻ったのですが、彼も責任を感じたようで、しばらくは金銭面の援助はしてくれていましたね。私はすぐに生活を変えることはできず、相変わらずパーティー三昧。
でもある日、ふと気付いたんです。このまま遊んでいても将来幸せになれるのかなって。女友達のことは好きだけど、みんなそろそろアラサー。みんな、港区男子相手に婚活はしていましたが、もう何年も彼氏はできていない。
『某広告代理店のイケメンと遊んだけどイマイチだった』だの、『経営者だらけの合コンに行ったけど手応えがなかった』だの、友達のまったく進展のない話にウンザリしてきたんです。気がつくと荷物をまとめて、周りに何も言わずに電車に乗っていました」
真美さんがたどり着いたのは、伊豆にある海沿いのホテルでした。
「きっと全てから逃げ出したいと思ったんでしょうね。辿り着いたのはホテルのレストランのアルバイト。いわば住み込みのリゾートバイトなのですが、彼の奥さんのこともあるし、ほとぼりが冷めるまで1カ月ほどバイトでもしてみようかと考えました。女友達には心配されるので、家族で別荘に行ってくると嘘をついて(笑)。
学生以来の肉体労働は最初すごくきつくて、何度もくじけそうになりましたよ。でも、仕事後に行く近くの居酒屋だけが唯一の楽しみで……。海が近いので美味しい居酒屋が多くて、特に金目鯛は脂が乗って絶品なんです。貯金は彼からの援助で多少持っていたので、時給1000円のバイト代はほとんど飲み代に消えていましたね(笑)」
空いた時間は温泉に入ったり、ビーチでのんびりしたり……と、東京では絶対できない生活を満喫したそうです。
「8月になって東京に戻ろうとしたところ、社員の人からあと1カ月延長できないか? と言われたんです。大人になってから仕事で必要とされたことがなかったので嬉しかったですね。
どうせ東京に帰っても仕事もないし、初めは心配していた彼からもほとんど連絡はナシ。思い切って夏の間だけ働こうと延長することにしました。
そこから1カ月働くと、仕事はさらに楽しくなっていったんです。バイト仲間もできて、皆で遊んでいるうちに自然とお金も溜まってきました。元々、下町出身なので安い居酒屋も大好きなんです。港区にいた頃の私は無理してたのかもって気付きましたね」
そして夏が終わる頃、真美さんはある決意を固めます。
「住んでいたのは20歳年上の外資系企業役員の彼氏がセカンドハウスとして借りていたタワーマンション。彼は結婚していて週に2回ほどしか帰ってこないので、割と自由に生活していましたね。
お小遣いももらっていたし、高級ラウンジでバイトしていたので、お金には困っていませんでした。週末は友人とホテルで女子会やナイトプール、年に3回は彼と行く海外旅行……。何不自由のない暮らしでした」
家を追い出されても、“港区女子”をやめられなかった
東京に戻ろうとしたら引き止められて……
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