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カリスマブームに乗った美容師のせつなすぎる現実。「独立しても1年で廃業…」

 カリスマ美容師ブームに乗って美容師になった世代が今、多くの問題に直面している。増え続ける美容室、人手不足、働き方改革……。美容師業界を取り巻く問題をリポートする。 [美容師]残酷物語 花形職業としてその地位を確たるものにした美容師業界だが、5年ほど前からおかしなことになっているという。美容室の急増と廃業が繰り返され、人手不足や勤務形態の変化など、さまざまな問題も合わさり、頭を抱える美容師が増えているという。美容品メーカーの営業マンに聞いた。 「カリスマ美容師ブームが起きた’90年代後半から’05年くらいまでに美容師に憧れて業界に飛び込んできたコたちが、5年ほど前から独立ラッシュを迎えています。この独立ラッシュによって美容室が供給過多になっているのです」
[美容師]残酷物語

美容所数と新規美容師免許取得数の推移

 美容室は年々増加傾向にあり、その数は’18年時点で全国に約24万3000軒。コンビニエンスストアの5万5000軒と比べて4倍強もある。ちなみに日本全国の信号機の数は20万8000基であり、我々は信号よりも美容室を多く目にしていることになる。この異常な店舗数が美容師たちのクビを絞めているのである。

増え続ける美容室を支えるリース会社

 某有名美容室に勤務した後、3年前に原宿で独立した美容師の山田隆一さん(仮名・38歳)が、美容師の独立開業の裏側について語ってくれた。 「そもそも美容師の給料なんてたかが知れてます。大手で勤続10年でも年収は300万円超えれば御の字。貯金なんてつくれないし、まとまった開業資金を借りようにも融資してくれるところもない。そこで出てくるのがリース会社なんですよ」  リース会社とは、シャンプー台やイス、ボイラー、パーマ器具など高価な美容器具をリースしてくれる会社のことだ。山田さんによればこのリース会社がカネも信用もない美容師たちの独立を支える存在となっているという。 「居抜き物件をブッキングしてくれることもあり、そうなると必要となる開業資金は物件を借りるカネとしばらくの運営資金くらいで、機材費など大きな初期費用はかかりません。独立のハードルはグンと下がりますね」
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リース会社は美容師業界の救世主……?
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