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カリスマブームに乗った美容師のせつなすぎる現実。「独立しても1年で廃業…」

 これだけ聞けば美容師業界の救世主のようにも見えるが……。 「居抜きでそのままといっても、看板だけ替えて何もいじらずに開業なんてことはまずありません。シャンプー台やイスも別のリース品に変更しなきゃいけないし、内装の変更も必要です」 [美容師]残酷物語 気がつけば、さまざまな費用がかさんでいったという。 「改装の費用に加え内装のデザイン費などと称して、リース料を1年分上乗せされました。最初の見積もりは月6万円の5年契約でしたが、気がつけば月10万円。おまけにシャンプーやパーマ液などの薬剤も包括的にリース会社と契約しなければならないんですよ。これがけっこう割高で、加えて賃料の支払いもあります。開業した途端に地獄が始まりましたね」  山田さんの店は原宿のやや奥まった場所にあり、30㎡ほどの広さで賃料は約20万円。場所柄、新規の飛び込み客はほとんどなく、集客はホームページと紹介のみ。リース代とシャンプー代や光熱費などの諸経費を支払うと毎月手元には雀の涙ほどのカネしか残らないどころか、赤字の月もあるという。 「一度、集客しようと新聞折込広告を入れたんですが、これもダメ。そもそも今の若い方は新聞取ってないんですよ。客単価を上げようにも、今の原宿は低価格路線ですしね。家賃の値上げも言われているし、店のものはほとんどリースなので、内装費用の実費を払って次の更新までに廃業する予定です」  この“廃業のしやすさ”が、今の独立ラッシュを支えるカラクリだと、前出の美容品メーカーの営業マンは指摘する。 「美容室は開業1年で6割が廃業するというデータがありますが、購入ではなくリースだから廃業しやすいんですよ。儲からなきゃ畳めばいいって美容師は多いんですよ。リース会社も独立したい美容師なんか山ほどいるから、損はしないし困らないんです」  美容師が独立すればするほど、儲かる仕組みが裏ではキッチリとできあがっているのだ。 ― “美容師業界”のせつなすぎる現実 vol.1 ―
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