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心が洗われる…森のかわいい美術館で、絵本作家いせひでこ原画展/安曇野

いせさんが絵本を出すたびに、「最初に原画展を行う」美術館に

⑤書簡

20年間の間にやりとりした手紙など。「いせさんの通信はまるで絵画です」と酒井館長は語る。

 森のおうちとの20年にも及ぶ関係について、いせさんはこう語りました。 「初めは、宮沢賢治の縁でした。賢治研究家の酒井倫子館長に招かれて、賢治絵本の原画展、対談などをやらせていただいたんです。  人生経験豊かな酒井倫子さんに、子育ての難しさを一緒に考えていただいたり、ふらりと訪れてコテージに泊めていただいたり。公私ともども、とてもお世話になりました。  初めは隔年で原画展を行っていましたが、10年目くらいから毎年やるようになりました。自作絵本を出すたびに、初めて原画展を行う場となっています。『絵本を出版して終わり』というのではなく、絵描きは常に、原画やスケッチを見てもらいたいのです。  絵本と原画、それを同時に見ることを、森のおうちが可能にしてくれました。アカマツ林の中の美術館は、何度訪れても美しいと思います。  特に、酒井館長のご主人の酒井潤一さん(地質学者)とアカマツの森を歩きながら、森を造っている木々や植物、根やタネの話を聞くのが好きです」(いせさん)
⑥パレット

絵画とともに飾られた、いせさん使用のパレット。長田弘さんの詩『最初の質問』(講談社)の絵本化の後、『幼い子は微笑む』(講談社)を描いたパレットをそのまま残してある。長田さんは2作目を見ることなく、2015年に逝去。

 いのちの森にある小さくて豊かな美術館は、子どもだけでなく大人も「あの頃」を思い出せる場所です。併設する図書室には、絵本や童話、読み物や研究書など、約8000冊の蔵書があり、自由に閲覧できます。
⑦図書室

本好きの子どもの部屋のような図書室。靴を脱いで、じっくり読むことができる。

 見覚えのある背表紙や本の匂いに包まれた空間は、絵本好きの人たちにはきっとたまらない場所なのではないでしょうか。 <取材・文・撮影/鈴木麦(フリーライター、古代史・老舗企業研究)>
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【絵本美術館&コテージ 森のおうち】
企画展:いせひでこと森のおうちの20年●絵本原画展「見えない蝶をさがして」
会期:2018年10月2(火)まで(9:30~17:00、木曜日休館)
入館料:大人800円 小中学生500円 3歳~250円

【関連イベント】(詳細は「森のおうち」HPを参照)

記念フォーラム
2018年7月29日(日)14:00開演
出演:いせひでこ 、酒井夫妻、宮坂静生(俳人)、柳田邦男(ノンフィクション作家)
参加費:前売予約3000円(当日3,500円)

柳田邦男のイベント
①講演会 2018年8月26日(日)15:00開演
②絵本哲学カフェ 2018年9月11日(火)14:00~16:00
③トーク&チェロコンサート 2018年9月17日(月・祝)13:00開場
いずれも前売予約2,000円(①③は当日2,500円)
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