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東京医大の差別減点、受験料6万円を女子は取り返せる?弁護士にきいてみた

医師だけじゃない?企業採用でも「女性は働けない」扱い

 今回の減点について、東京医大の内部調査委員会は「女性差別以外の何物でもない」とハッキリ報告書に記した上で、同大の前理事長・臼井正彦被告は、女性は結婚出産で育児をし、勤務時間も長くできないとみなし、「女性は年齢を重ねると医師としてのアクティビティが下がる」などと発言したとしています。  彼のように「女性は働けない」といった理由で男性を優遇することが、医師の業界だけでなく、企業の採用時にもなされているのが現状だと聞きます。  この状況はなんとかならないのでしょうか? また、採用に不合格だった女性が訴訟を起こすなどした場合、勝ち目はあるでしょうか?  刈谷弁護士に答えてもらいました。

企業の採用試験では男性の優遇が表面に現れにくい

就職差別「“私企業において男性が優遇されている”ということは、それが仮に事実だとすれば、今回の大学入試とは異なり、それが表面に現れにくいという特徴があります。  つまり、大学入試で行われる学力テスト等の場合は明確に“点数”によって合否が決まるのに対し、私企業の採用試験では、“面接”という点数化することが難しい方法が用いられているので、男性を優遇しているかどうかが不明であることの方が多いのです。  そして、私企業の職務内容にはさまざまなものがあるでしょうから、採点項目の中に“体力”というものが設けられていたとしても、それが直ちに男性を優遇し、女性を差別する目的のための項目であるとは言えないでしょう。」

企業の採用での男性の優遇があっても法的には難しい

就職差別、昇進不平等「このように、私企業の採用基準についてはそもそも公表されていないことも多く、どのような人材を欲しているかということについては第三者が口出しできるような内容ではないことが多いでしょうから、たとえば女性であることのみを理由とした不利益な取り扱いが行われていることが明らかにでもならない限り、採用試験を違法ということは難しいと思われます。  したがって、結果的に採用試験の結果として男性の採用数が多くなったとしても、それは男女平等な試験をおこなった結果であるという会社側の言い分が優先されるでしょうから、現実に“私企業において男性が優遇されている”としても、そのような現状が改善されるようになることもまた、難しいといえるでしょう。」  男女平等への道のりは、なかなか遠いようです…。ただ、このまま黙っていては、ますます遠くなるばかりであることも間違いないですね。  胸くそ悪い思いをするのは、今生きている私達の世代で終わりにしなければ!と平成最後の夏、心に刻みました。 【刈谷龍太(かりや りょうた)弁護士】 1983年千葉県生まれ。中央大学法科大学院 修了。2014年に新宿で弁護士法人グラディアトル法律事務所を創立。代表弁護士として日々の業務に勤しむほか、メディア出演やコラムの執筆などを行う。男女トラブル、労働事件、ネットトラブルなどの依頼のほか、企業法務においても顕著な活躍を残す。 <文/女子SPA!編集部> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
女子SPA!編集部
大人女性のホンネに向き合う!をモットーに日々奮闘しています。メンバーはコチラ。twitter:@joshispa、Instagram:@joshispa
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