受け入れてくれない幼稚園や保育園があっても、受け入れてくれるところは必ずある。後者は、
受け入れてくれるからこそ、ちゃんとケアもあるからこそ、安心して預けられるそうだ。しかも、同じようなハンデを持った子も多いからこそ、相談できるママ友もできたという。もちろん、先生と保護者の連携は何よりも大事。より密なコミュニケーションが大事になってくるが、それでも受け入れてくれること自体、とてもありがたいことなのかもしれない。

実際、ぽんちゃんはいま特別支援学校に通っているが、ぽんちゃんのクラスメイトたちは幼稚園でも保育園でもなく、発達支援センターの幼児教室が出身だという子も多い。それぞれいろんな道があるのだが、それを見つけるのは親なのだ。
親が自分で探さないと、何がふさわしくて、どこに受け入れてくれるかわからない。そして、まだ発達の遅れや障害の有無があやふやな0歳から4歳だと、さらにわからないのだ。
もう少しルートが提示されていればわかるのだが、
まずわが子がほかの子と違うことを認めることが難しいこの時期に判断を迫られるのは本当に難しいこと。わたしのようにシングルマザーであれば保育園一択なのだが、発達の加減によって、それも難しいことがあるだろう。
大きな声で「どうしたらいいですか」と聞くことが大事
でも、最初から育児に答えなんてないのだから、こればっかりは仕方のないこと。それなら、
頼れるところに頼って、話をして、大きな声で「どうしたらいいですか」と聞くことが一番だということに気づいたのだ。
当たり前のことだけど、“聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥”。療育の先生や保育園の先生、周りのママ友、いろんな人と話しているうちに、いろんなアイディアや打開策が生まれてくる。
いちばんよくないのが、自分で抱え込むこと。周りはしっかり助けてくれるし、自然と、「これ以上関わらないで」という人もわかるようになってくる(笑)。それはそれで仕方のないこと。だからこそ、関わってくれる人たちは、さらにありがたく感じるのだ。
その日も療育が終わり、昼食少し前に保育園に登園したぽんちゃん。「待ってたよ~!」と声をかけてくれる先生のもとに文字通り飛び込むと、さっきまで私に“抱っこして”とベタベタだった息子は、保育園の大好きな先生の腕に収まり、
私の方に「バイバイ」と振って用済みだとアピール……。
この極端さにあきれるが、保育園が大好きなぽんちゃんだからこそ。これもいいことだと思い、仕事に向かうのだった。
<文/吉田可奈 イラスト/ワタナベチヒロ>
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【登場人物の紹介】
息子・ぽんちゃん(8歳):天使の微笑みを武器に持つ天然の人たらし。表出性言語障がいのハンデをもろともせず小学校では人気者
娘・みいちゃん(10歳):しっかり者でおませな小学5年生。イケメンの判断が非常に厳しい。
ママ:80年生まれの松坂世代。フリーライターのシングルマザー。逆境にやたらと強い一家の大黒柱。
【吉田可奈 プロフィール】
80年生まれ、フリーライター。西野カナなどのオフィシャルライターを務める他、さまざまな雑誌で執筆。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘は“死ぬこと以外、かすり傷”。著書に、
女子SPA!での過去の連載をまとめた『
シングルマザー、家を買う』がある。Twitter(
@singlemother_ky)
【ワタナベチヒロ プロフィール】
漫画家、イラストレーター。お金にまつわる役立つ知識をオールマンガで1冊にまとめた著書『
お金に泣かされないための100の法則』(ファイナンシャルプランナー山口京子先生が監修)が主婦と生活社より発売中。