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その教育、本当に子どものため?虐待死の理由、2位は“しつけ”

 コーチが選手にビンタをする、学校で先生が生徒を殴るーー。こういったニュースが流れるたび、批判の声と同時に、「昔は殴るなんて普通だった。今は体罰にうるさすぎる」といった一部の声があがります。でも本当でしょうか?

 実は今でも教育現場で横行している、“指導”の名を借りた暴力・虐待について、臨床心理士でIFF CIAP相談室セラピストの木附千晶さんが、社会・心理学視点から分析します(以下、木附さんの寄稿)。

教育現場

目に見えない暴力も、子どもに深い傷を負わせる


 前回の記事では、柔道部員らに体罰を繰り返し不登校に追い込んだ兵庫県神戸市の中学校教師(37歳)が、「けがをさせない程度なら体罰が容認されると思っていた」と神戸市教育委員会に説明したという記事(『東京新聞』、2018年9月13日)を紹介しました。

 さらに記事を読んで驚いたのは、この教師が、教えたことを覚えていなかった生徒にメモを取るよう指示した際、「僕は記憶が弱い可能性があります」などと書かせたり、生徒の保護者には「障害があるかもしれないので病院で診てもらった方がいい」と電話したりしていたという点です。

 殴ったり、蹴ったりという、目に見える、分かりやすいものだけが暴力ではありません。ときに精神的な傷のほうが、将来にわたって取り返しのつかないほどの深傷を負わせることもあります

 ところがこの教師には、「自分の言動が生徒を傷つけているかもしれない」という迷いはまったく感じられません。それどころか、「自分は正しいことをしている」と思い込んでいた節があります。

子どもの人格を踏みにじる、悪質な“指導”や“しつけ”


 最近、相談や取材を通して、前回紹介した教師の例のように、善意の仮面をかぶった“指導”や“しつけ”のエピソードを耳にすることが増えたような気がしています。たとえば次のようなものです。

悪質な“指導”「自ら周囲に声をかけることが苦手な子どもが『積極的になれるように』と、周りの子どもたちに対して『その子に声をかけないように』と言った
「クラス全員が正解するまで、休み時間返上で勉強をさせ続けた」
「動きが遅い子が、みんなと同じように動けるよう、ストップウォッチでタイムを計って行動させた
「忘れ物をするたびに、他の子たちとは離れた“ぼっち席”に移動させた」

 こうした不適切な“指導”が子どもを追い詰め、死へと追いやることもあり、教育現場では「指導死」という言葉が定着しつつあります(『東京新聞』2017年1月20日)。

 それにもかかわらず、子どもの人格や自尊心を踏みにじる行為を教育だと勘違いする教育関係者はけっして少なくないように感じます。

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教育現場だけではない。家庭での不適切な養育とは

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