それは親も同じです。今年3月、東京都目黒区で5歳の女児が「言うことを聞かないので水のシャワーをかけてから殴った」(父親・33歳)ことにより死亡した
虐待事件は、記憶に新しいのではないでしょうか。

写真はイメージです
逮捕後、父親は「
これまでもしつけでたたいたことはある」と供述し、報道によると、女児は自ら目覚まし時計をセットして毎朝午前4時ごろに起床。室内灯もなく、薄暗い部屋でひとり、父親に命じられて平仮名を練習をしていたそうです。
事件後に見つかった女児のノートには「きょうよりもっともっとあしたはできるようにするから もうおねがい ゆるしてください」などと書かれていました。この報道に衝撃を覚えた方も多いことでしょう。
ところが一方で、
子育て中の親の約7割は体罰の経験があり、おとなの6割が「しつけ」のためとして子どもへの体罰を容認するというセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンによる調査結果もあります(『朝日新聞』2018年2月16日)。
また、厚生労働省によると、
04年1月~16年3月に虐待死した計653人の子どものうち、81人(12%)の主な虐待理由は「しつけのつもり」で、理由が明らかなケースの中では2番目に多かったといいます。3歳以上に限れば09年4月以降、「しつけ」で27人(28%)が死亡していて、最も多いというのです(『朝日新聞』2018年6月27日)。

親の期待を押しつけて何かを教え込もうとしたり、
親の理不尽な行為を「しつけ」と正当化する「教育虐待」は、早期教育や受験競争が過熱する昨今、どこの家庭でも起こり得ることです。
たとえ子どもの将来を思い、励ますつもりであったとしても、他の子と比べたり、過度に高い要求を突きつけて、結果として子どもに「自分はダメな子だ」とか、「期待に添えなければ自分には価値がない」と思わせることは、子どもの成長・発達に明らかな害をもたらします。
子どもはおとなの所有物ではありません。おとなの思い通りにいじくり回し、力づくでおとなにとって都合のいい人間へと育てあげようとすることは、紛れもない不適切な養育であり、体罰なのです。
<文/木附千晶>
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【木附千晶プロフィール】
臨床心理士。IFF CIAP相談室セラピスト。子どもと家族をめぐる問題を中心に社会・心理学視点から臨床・執筆活動を行う。子どもの権利のための国際NGO DCI(Defence for Children International)日本で運営委員、子どもの権利オンブズマン委員および『子どもの権利モニター』編集長を務める。