能町:この記事、ほんとは全体に赤字を入れたいんですよね。そして次。「LGBTの当事者の方たちから聞いた話によれば、生きづらさという観点でいえば、社会的な差別云々よりも、自分たちの親が理解してくれないことのほうがつらいと言います。」
サムソン:この「聞いた話によれば」っていうのが……。
能町:そう、ソース(情報源)なし!
サムソン:(笑)。
能町:だって最初に「
もし(強調)自分の男友達がゲイだったりレズビアンだったりしても」って言っている。
「もし」ってことは、友達にはいないんですよ。でも、当事者の方からは話を聞いたと言っている。何の機会に聞いたのかね? 杉田氏にゲイ・レズビアン当事者の知り合いがいるかどうか、だいぶ怪しいよね。
サムソン:2ちゃん(現在は「5ちゃんねる」。以下同)とかだったら、がんがん「ソース! ソース!」言われるところですよ。
能町:そうですよ。「ソースきぼんぬ」ですよ。で、次。「『生きづらさ』を行政が解決してあげることが悪いとは言いません。しかし、行政が動くということは税金を使うということです」ここは、問題になったところですね。「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか」って言うんだけど、LGBTのために、どういう税金を使っているのかは、どこにも書いてないんですよ。「こんなに無駄な税金使ってます」の例は一件もなし。
サムソン:うむ、「ソースきぼんぬ」ですね。
能町:そもそも税金使っていないのではないか疑惑。

能町みね子さんが取材後に酔った勢いで描いたゆるキャラ「生産性ちゃん」
サムソン:その次にある、「LGBTと一括りにすること自体がおかしい」って、こういう人たちがよく言うやつだよね。
能町:そうそう、LGB(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル)とT(トランスジェンダー)を一緒にするなというのは、もうほんとにベタベタなパターンですね。これは、過去にTの人たちの戦略みたいなものもあったと思うんですけど。LGBTのTの人にアクティブな人が多くて、あえてTを分けることによって権利を認めさせたと言わざるをえない過去もあって、杉田氏の記事はその流れに乗っていってると思うんですね。
「LGBは性的嗜好の話です」といって、「しこう」を「好み」のほうの「嗜好」と書く。これもベタな取り違えで、わざとなのか、間違いなのか知りませんけど。
「私は中高一貫の女子校で、まわりに男性はいませんでした。女子校では、同級生や先輩といった女性が疑似恋愛の対象となります。ただ、それは一過性のもので、成長するにつれ、みんな男性と恋愛して、普通に結婚していきました」とも語ってますが、ほんとによくある主張ですね。
サムソン:……昭和40年代に、悩み相談室に寄せられた同性愛に悩む人からの質問に、先生が答えているような内容ですね。
能町:しかも、「一過性のもので、みんな結婚していった」ことのソースはとくになし。
サムソン:「大人になれば、ちゃんと女の人を愛せますよ」的な。「スポーツで発散しましょう」と続けば完璧ですね。それと、最後のオチもひどいんだよね。

ゆるキャラ「生産性ちゃん」をラク書きする能町さん
能町:そう、最後が一番ひどいと思った。「では、トイレはどうなるのでしょうか。自分が認識した性に合ったトイレを使用することがいいことになるのでしょうか」。まずこの人、ゲイとトランス(ジェンダー)の区別が付いてないんですよ。だいたいゲイの人はなんの問題もなく男のトイレ使うからさ。
サムソン:ハッテンしたいし。
能町:そうそう……いや、それは関係ないから!
サムソン:こういうこと言うからだめなのね(笑)。もう、逆に……杉田さんでもいいんだけど、小川榮太郎さんと私、対談したら面白いんじゃないかな(笑)。
能町:アキラ(=サムソン氏)はダメでしょ、「ゲイのやつはほんとにセクハラをしてくる!」って、小川氏に説得力与えちゃうよ(笑)。あと、これ。「様々な性的嗜好も認めよということになると、同性婚の容認だけにとどまらず、例えば兄弟婚を認めろ、親子婚を認めろ、それどころか、ペット婚、機械と結婚させろという声が出てくるかもしれません」。
サムソン:……ふふふ(笑)。
能町:こういうことを言う人もよくいるんですけど、兄弟婚と親子婚は別として、ペット婚はまず、双方の同意が絶対ないから無理。機械婚も同様。
サムソン:(笑)。でも、やっていいじゃん!と思うんだけどね。
能町:そうそう、勝手にやるぶんにはいいと思うし、それを法律で保護しろとなると、両性の合意は絶対にないのでアウトだと思うんですけどね。
サムソン:だから、水脈もつらかったんじゃないかなと思って。「朝日批判&LGBTで書いてください」って編集部に言われて、「はーい!」と言ったはいいものの、「あーんどうしよ~、ネタないかも~」とかなって。
能町:調べたらLGBTの記事は毎日のほうが多いし、「困った~」ってなって。
サムソン:苦しんでる水脈が見えてくるようよ。
能町:そして、最後。「『常識』や『普通であること』を見失っていく社会は『秩序』がなくなり、いずれ崩壊していくことにもなりかねません」……今までどうにかうまいこと言ってきたつもりだったろうに、最後にLGBTを「非常識」って全否定しちゃったようなもんですよ。しかも、朝日新聞がLGBTについて報道すると、社会が崩壊すると。
サムソン:(笑)。
能町:すごい!
「風が吹けば桶屋が儲かる」的な、とんでもない理論がここで出てきてるんですよね。
サムソン:だから、もうそのあたりとかも、「私、何書いてんだろ……!?」みたいな感じになってるかもね。自分でわかんなくなってる。だから……すべてがトンデモだから、これを読んで傷ついたLGBTの人がいるというのは、私、信じられなくて。
でも、「サンデー・ジャポン」(TBS系列)なんかでは、デーブ・スペクターが水脈の記事について「全文を読んでみると、正論を言っている部分もある」とも言ってて、私は、デーブが言うんだから、ちょっとまともなことも書いてるんだろうなと思って読んだら、こんなにひどかった、という感想です。
だから、
世間の人たちのなかにもこの記事に納得しちゃってる人が一定層いるなら、一方で、ちゃんと怒る人もいてもいいのかしらとも思ってる。私たちのレベルだとさ、相手にするのもめんどくさいじゃない。
能町:私たち、ビッグだからね(笑)。
サムソン:ビッグ・ツー(笑)。それに
水脈は政治家だし、どんなにトンデモでも放置しないで、ちゃんと声をあげて抗議する人が出たのはいいことだと思う。
能町:杉田氏と同じ自民党の長である安倍さんは、いちおう杉田氏の記事については遺憾を表明してはいたけどね。
――とはいえ、「まだ若いから注意しながら仕事してほしい」と言うにとどめており、処分などはしていませんね。杉田氏は51歳で、「若い」というには違和感がありますが。
能町:そう。安倍さんは何歳までを若いというんだろう。
次回、「この騒動が世の中にもたらしたものとは?」…に迫ります!
<文/的場容子 & 女子SPA!編集部 写真/我妻慶一 撮影協力/
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