Love

初めての「出張ホスト」体験。愛はお金で買えるのか

 そこでも、「これに俺が勝ったら、ご褒美にキスしていい?」と整った顔立ちで少女漫画に出てくるようなセリフを語られ、心臓が破裂しそうだった。  勝敗の結果は、彼が手加減してくれたらしく私が勝ったんだけど、「負けたけど、キスしたいからする!」と言って、ダーツバーの店内でキスをされた。 「負けたけど、キスしたいからする!」 台本があるのか? カメラはどこにあるんだ? と思うくらい、彼の言動全てが女性の夢見る理想のデートそのものだった。逆に、寒気がするほどに。  ダーツバーを出て上野公園のベンチでイチャイチャしていたら、いつのまにか終電が近づいてきた。 「泊まれないの……?」と可愛い顔で誘われる。ありがたい誘いに乗りたい気持ちでいっぱいだったが、ちょうど翌日は出張が入っていたので、そのまま解散することになった。

夢のようなデートにときめいたけれど…

 家に帰って化粧を落とした後、上野公園でイチャイチャしている時に首筋につけられたキスマークをなぞる。  まるで夢を見ていたかのような、鮮やかすぎるデートだった。もちろんドキドキした。けど、やっぱり相手はプロすぎた。デートが完璧すぎて、人間らしさや生々しさを感じられなかった。  また、「お金が発生している」と頭の片隅にあるからこそ、彼の言動全てにお金が見え隠れしてしまって、上手く台本に入り込めなかったのかもしれない。  お金でドキドキと理想のデートは購入できるが、生々しい「人間からの愛」というものは買えなかった。お金が発生しないからこそ、「愛」に価値があるのかもしれない。  出張ホスト体験は、この1回だけで終わった。 <文/藤しおん>
藤しおん
18歳の誕生日当日にお水商売デビュー。以降ガールズバー、スナック、キャバクラ、高級クラブなどの夜のお店を転々としていたが、大学卒業とともにお水商売から足を洗う。現在は、会社でOLとして働きながら、人の恋路や人生について相談に乗ったり、観察したりしている26歳♀。twitter:@fujishion
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