Entertainment

『まんぷく』の福子=安藤サクラが超人的。夫を伸ばす妻の条件とは

 NHK連続ドラマ小説『まんぷく』は、第7週(11月12日~11月17日)に入り、新たな展開を見せています。海が近い大阪・泉大津での新生活をスタートした福子(安藤サクラ)・萬平(長谷川博己)夫妻は、塩を作る会社を創業したのです。


 近所の食堂が、終戦直後で塩の配給が少なくて美味しいラーメンを作れない…と嘆いているのを聞き、「そうだ! 塩をつくろう!」と思い立った萬平。海水を煮詰めて塩作りをしようというのですが、これがまた苦難の連続で――。

「夫を支える」という福子の肝の据わり方がすごい


 物語を進めていくのは萬平であることから、「実質・ヒロインは萬平」という声もありますが、ここにきて福子の超人的な強さが際立ってきました。

 塩作りを思いついた萬平のために、親友の夫に再三、借金を頼みに行ったり、塩作り人員として14人もの戦争帰りの元兵隊たちを神部くん(瀬戸康史)が連れてきてしまうと日々のおさんどんに追われたり、食費の工面、節約料理に苦心したり。

 大の男たち(通称・塩軍団)がまるでハムスターか何かのようにぎっしりひしめき合い、重なり合って雑魚寝しているさまを見るだけで、鈴さん(同居している福子の母、松坂慶子)じゃなくてもクラクラしてきますし、嫌気もさしてきます。でも、そんな状況でも、ちっとも根を上げない福子。


 それどころか、夫が塩作りに夢中になる顔を「あんな萬平さん、初めて見た」と、嬉しそうに頼もしそうに、笑顔で見守るのです。この懐の深さ、肝のすわりかたは、もはや「究極のマネジメント能力」どころか、「超人」に見えてきます。

どんな状況でも楽しんでしまえる福子の才能


「萬平さんが本気なら、それを支えるのが私の役目です」と言い切る福子。

 才能ある夫を見守り、支えるおっとり穏やかな妻という構図は、姉・克子を演じている松下奈緒がヒロインを務めた『ゲゲゲの女房』にも似ていますが、たくましさ、楽天家ぶりは福子のほうがはるかに上でしょう。

 萬平さんは、出会いからずっと才能豊かで、誠実で、純粋で、優しく、妻をいつでも尊重してくれて、理想の夫、超優良物件に見えていました。

 その魅力が薄まっているわけではないものの、妻が担う仕事の量と質の過酷さを見るにつけ、この1週間で「いや、ちょっと無理でしょ…」「福子以外の人じゃ、妻はとうてい務まらないわ」と感じ、白旗を上げている女性は多いのではないでしょうか。

 萬平さんはすごい人ですが、それよりさらにすごいのは、どんな状況も楽しんでしまえる福子だと確信。

 華々しい萬平の活躍の陰で、福子は十分すぎるほどにその存在感と威力を発揮しつつあります。

『まんぷく』は、世界初のインスタントラーメンを開発した安藤百福・仁子夫妻がモデル。発明家の夫は、「究極のマネジメント能力」を持つ妻あってこそなのかもしれません。

NHK朝ドラ『まんぷく』レビュー

<文/田幸和歌子>

田幸和歌子
ライター。特にドラマに詳しく、著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』など




あなたにおすすめ