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「けもなれ」の新垣結衣、やつれた“怖いガッキー”の新境地

 新垣結衣が、恋に仕事に疲れ果てたアラサー・晶を演じる『獣になれない私たち』(日本テレビ系、水曜夜10時~)。


 晶は、職場でパワハラされても、彼氏・京谷(田中圭)が4年も元カノとグズグズしていても、ひきつった笑顔で優しくふるまいます。

 本音を言えず、「馬鹿(=獣)になれたら良いのにね」と言いつつ、ずっと同じ場所を堂々巡りし続け、ある意味最も馬鹿になっていた晶。

作り笑顔の怖さに、新垣結衣の迫力を見た


 作中で、晶について「いつも笑顔で、気が利いて、優しい、キラキラ女子」というフレーズが何度も出てきますが、実はそれを聞くたびに筆者は「そうか?」と思っていました。もちろんガッキーこと新垣結衣が可愛いなんてのは、誰でも知っていること。でも、こと晶という役柄に関しては、あまりキラキラ女子には見えていませんでした。

 会社でも、行きつけのバーでも、「ん?」と聞き返すときの晶の顔はいつも硬直している。彼氏と寝たと告げる呉羽(くれは、菊地凛子)に「ん?」と聞き返したときなどは、平静を装っている、冷たい鬼の顔に見えていました。

 いつも明るく笑顔のガッキーは、ドラマ内の晶のイメージだけでなく、視聴者が勝手に抱いているものでもあります。だからこそ「張り付いた作り笑顔」にどうしてもイラ立ちや疲れが見えて、とても怖く思えて、早く本音を言えば良いのに…と感じていました。


 一方で、イラ立ちや怒り、不満をストレートに口にする人よりも、無理に笑って引きつった笑顔を見せる人のほうがよほど迫力があります。「本当はすごく嫌なんだな」「内心では怒ってるな」とわかるからこそ、そうした顔を向けられた相手はビビったり、傷ついたりするものです。

 そんなわけで、晶のことが「キラキラ女子」に見えていた人は、その顔面の造型やスタイル、ファッションなどしか見ていなかったのでしょう。それに対して、同じ飲み屋の常連・恒星(松田龍平)だけが、「キモい笑顔」と言い、気づいていたわけですが。

 この引きつった複雑な作り笑顔の怖さには、新垣結衣の新たな一面、生々しく凄みのある演技力を見せつけられた思いでした。

彼氏に別れを告げた時、本当のキラキラ感が


 と思ったら、とうとう第7話(11月21日放送)では、出口の見えない付き合いを続けてきた恋人・京谷に対して、勇気を持って、別れを告げます。

 浜辺で別れ話をするときの新垣結衣は、凛とした強さを持ちつつも、本当に限界にきているように見えました。

 いつになく肌荒れし、よどんだ雰囲気があり、ストレスや疲れがMAXにきていることがわかります。

 Twitterでも「ガッキー地味に肌荒れしてる」「ガッキーのやつれ具合と肌荒れが心配。役作りが過ぎるわ」など、役柄との一体化を心配しているつぶやきがチラホラ見られました。

 晶でいることで、新垣結衣は心底追い詰められてしまっているのではないでしょうか。そして、浜辺でとうとう彼氏に本音を打ち明けます。

誰よりも笑ってごまかして、本当のこと何も言えてなかった。でもそれって、自分の人生じゃないよね
京谷とは終わりにする。…やっと言えたー!」と笑う顔の清々しさ。

 そして最後に、「可愛くなくて何が悪いんじゃボケ! うっさいわ!!」と言い放つのです。

 まるで長い便秘から解放されたかのような軽やかさと明るさ。振り返らずに去るときのキラキラ感

 京谷との恋愛という糞詰まりを解消した「キラキラ女子」がそこにいました。

 第8話では、晶の会社の中途採用に、なぜか京谷の元カノ(黒木華)が応募してきます(予告編では採用された模様)。また、ひと波乱起きそうな予感が――。

<文/田幸和歌子>
⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】

田幸和歌子
ライター。特にドラマに詳しく、著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』など




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