「昔の女性は生理の血が止められた」というトンデモ仮説を信じる人たち
いつから日本は毒親大国に?
経血コントロールの場合は、「当たり前すぎて言語化されていない」という説明に加え、戦争をはさんで社会と生活様式が大きく変わり、さらに男女平等社会の恩恵を受ける自分の娘に母親が嫉妬を覚えたことや、粉ミルク推奨時代で母乳をあげていないため親子関係が希薄になり、女性の体の大切な知恵を娘に伝えなかったから、という仮説が唱えられています。
ところが、粉ミルク育児のピークは1970年代。粉ミルク育児が主流となった年代の親たちは、すでに洋式文化が浸透しつつある戦後生まれです。経血コントロールができていたとされる世代ではないので、母乳育児との相関性は限りなく低そうです。それ以前に、母乳じゃないと親子関係が希薄になるというお説自体が、笑止の至りですが。
さらに「私たちは男尊女卑でこんなに苦労したのに、平等社会な娘たち、ずるい! だから大事な体の使い方なんて教えてあげないわ」なんて考えの母親が大部分を占めていたというのも、いつから日本は毒親大国になったんだという話です、これ。
日本はとかくアトピーや障害などの原因と責任を母親に押しつける傾向があるようで、「母親たるもの心血注いで一時も休まず育児すべき」なんて呪いも蔓延していますが、ファンタジーレベルの“失われた力”にまで母親の責任が問われるなんて、げんなり。「昔の生理はこうだったであろう」という推理は謎解きのようで楽しいでしょうが、それによって現実の生活を歪められたくないものです。
【山田ノジル プロフィール】
自然派、エコ、オーガニック、ホリスティック、○○セラピー、お話会。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のないトンデモ健康法をウォッチング中。長年女性向けの美容健康情報を取材し、そこへ潜む「トンデモ」の存在を実感。愛とツッコミ精神を交え、斬り込んでいる。twitter:@YamadaNojiru
<文/女子SPA!編集部>
⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 1
2


