
一番うれしいのは聞いてくれること
「いろいろとお話しましたが、ひとつお伝えしたいのは、私が障害者の代表者ではないということです。どのような思いで生きているか、どう接してほしいかは障害者によって違いますから。一番うれしいのは聞いてくれることなんです」
マニュアルを読んだり、インターネットで情報を調べるより、
まず相手に聞いてみることが一番なのです。
「とあるママ友が、Facebookにアップした私の娘の絵を見て、とても上手に描かれていることに感動してくれて、翌日にどうしても渡したいものがあると、あるものを持ってきてくれたんです。それは娘の絵をプリントアウトして、その線をボンドでなぞり、乾燥させて凹凸をつけたものでした。私が触って絵の輪郭がわかるようにしてくれたんです」
カラーでプリントアウトすれば、娘さんが喜ぶと思ったそうで、わざわざカラーにしてくれました。その絵はクレヨン画だったので、線の太いところや細いところを綿棒やようじを使い分けて丁寧に塗ってくれたそうです。
「彼女は福祉関係者でもなんでもないけれど、自分にも何かできることはないかと考え、誰に聞くでもなくその方法を思いついたんだそうです。難しく考えなくても相手を思う気持ちがあればいいんだと、教えてくれました。今でもその絵は大事に飾ってあります」
今後はワークショップ、講演会の企画を自ら行ったり、出版もしたいと語る西田さん。
誰もが輝ける未来のため、その挑戦は続いていきます。
<取材・文/上野郁美>
【西田梓】
兵庫県西宮市出身、37歳。社会福祉法人日本盲人職能開発センター、非常勤職員。視覚障害を知ってもらうための講演やオリジナルワークショップ、有名企業でのセミナー、エッセイの執筆を精力的に行っている。視覚障害児を持つお母さんの子育てを応援し、視覚障害への理解を目的としたインターネットサイト「
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