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流行を知るにはアラフォーも「渋谷109」に行くべき!? トミヤマユキコ×MB対談

「自分が着たい服」と「他人から褒められる服」の両立

トミヤマ:私はもともと服を着るのは好きで、トンチキ……変わったデザインの服を選ぶのは得意だったんですよ。でも「おもしろい服を着ていれば、『ああ、こういう人なのね』と思われて、ファッション警察から釈放してもらえる」といった逃げが自分のなかにあったんです。  年を重ねてきて「そろそろトンチキ服のチャンネルだけではダメなんじゃないかな~」と思っているときに、大学教員として、学生の教育実習先に挨拶に行く機会があって。「教員として挨拶に行くのにトンチキ服しか持ってないのはマズい」となったのが、「シュッとしたコンサバ服も着こなせるようになりたい!」と強く思うようになったきっかけなんです。 MB:結局服って他人がジャッジするものですからね。自分が着たい服を着ることももちろん大事だけど、他人に褒められることで得られる自己肯定感もある。2つを両立できるのが理想ですよね。
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「自分が着たい服と他人に褒められる服の両立が大事」(MB)

トミヤマ:コンサバ服を着こなす訓練をする中で、主観から客観へ、考えの切り替えができるようになった気がします。それがMBさんの『幸服論』のなかでは「他人本位」という言葉で言語化されていて、めちゃくちゃ腑に落ちました。 MB:「好きな服着てればいいじゃん。何が悪いの?」っていうのはもちろんそうなんだけど、言い訳にしてほしくないなって思うんですよね。だって、他人から全然褒められないのもイヤでしょ。どっちもできる大人になれたら最高じゃない?と。 トミヤマ:本当ですね。それに、「他人本位」とか「TPOをわきまえる」って、単に自分を殺すということではないですよね。やり方次第で自分が生かされるファッションにもなりえるし、他人に認められることによる達成感もあるわけですから。  MB:他人の目線を気にすることで、自分の可能性が広がっていくきっかけにもなる。だから、トミヤマさんが本の最後で言っていた「オシャレには終わりがない。でも、終わりがないことは希望である」っていうのもその通りだよなあって思いました。 トミヤマ:もちろん「オシャレの基本」はあると思うんですけど、トレンドも変わるし、自分の好きなものも年を重ねていけば変わっていきますよね。アラフォーくらいになると、人生はある程度既定路線に入っていくけど、ファッションではまだまだ喜怒哀楽を感じられる。これって、生きていくうえでものすごい希望になるよなあと思ったんです。(後編に続く) ●トミヤマユキコ ライター、早稲田大学文化構想学部助教。著書に、大のパンケーキ好きが高じて著したガイド本『パンケーキ・ノート』(リトルモア)、『大学1年生の歩き方 先輩たちが教える転ばぬ先の12のステップ』(左右社、清田隆之と共著)など。いとうせいこうと星野概念の対談本『ラブという薬』(リトルモア)では構成を担当。大学では少女マンガ、サブカルチャーについての講義を担当 ●MB ファッションバイヤー、ブロガー。メンズファッションの底上げを図るべく各メディアで執筆中。“買って着て書いて”一人三役をこなす。主な著書に『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論』(ともに小社刊)。企画協力したマンガ『服を着るならこんなふうに』(KADOKAWA、漫画・紺野やえ)シリーズはベストセラーに <取材・文/牧野早菜生 撮影/福本邦洋>
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