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朝ドラ『まんぷく』子供のいじめ対処にモヤモヤ…『マッサン』『半分、青い』との違いは?

 カップラーメンの生みの親・安藤百福とその妻・仁子をモデルにしたNHK朝の連続テレビ小説『まんぷく』。第17週(1/21~1/26)になって、萬平(長谷川博己)はやっとラーメンを作り始めました。  しかし、そのことによって、子供たちは友人たちから「信用金庫をクビになってルンペンになった」などといじめに遭ってしまいます。傷だらけで帰宅し、「ラーメン作りはやめて」と両親に懇願する子供たち……。  その対処法に、視聴者から疑問の声が上がっています。

いじめ問題はそれで終わり? 

 傷だらけになって帰って来た子供たちに、福子は言います。 「何も悪いことも恥ずかしいこともしていない」 「何を言われてもニコニコしてなさい」 「そのうちあなたたちを馬鹿にした友達も、お父さんが作ったラーメンをおいしいおいしいって食べてくれる」  それで子供たちは納得して問題は終わり、18週に入りました。19週に入った今も特に進展はありません。  何事もなかったかのようにラーメン作りが続きますが、SNSではそのいじめの対処法にモヤモヤしている視聴者の声が多数ありました。 ・いじめられるだけの源ちゃんと幸ちゃん(子供たち)がかわいそう。 ・源と幸に我慢をさせるだけさせて、自分のやりたいことを貫くのはどうかな。 ・学校に乗り込むなど、何か対処をしてほしかった。etc.  約60年前の話なので、「いじめ」の中身や深刻度は現在と違うでしょう。それでも、傷だらけにされるほどですから、ニコニコしてれば解決するのかどうか…?

子育てに正解はない、けど……

 朝ドラでは時折、主人公の子供がいじめに遭う場面が描かれてきました。 『マッサン』では、エリーの娘のエマへのいじめを1週に渡って解決まで丁寧に描き、そして朝ドラ前作『半分、青い』では主人公・鈴愛が、いじめられた娘・花野に「転校しよう」と現代的な対処をし、それぞれ向き合っていました。
 放映後のまんぷく公式ツイッターでは「子育てに正解はありませんが、きちんと向き合って、前向きに思いを伝えていく福ちゃん。応援してます!」とフォローしていることから、この描写に賛否両論あると制作側も踏んでいることが予想されます。  確かにいじめとの向き合い方はそれぞれで正解はありませんが、幼い子供に対して、気の持ちようだけで言い聞かせて納得させることで終わらせるのには疑問があります。  ところで、この記事を執筆しながら年明けに西武そごうの広告で、賛否両論の大炎上を思い出しました。「女性差別」という社会的な問題を「私は私」という個人的な気の持ちようで解決できると訴えていたあの広告です。  きちんと向き合うべき子供のいじめ問題を、「いつか成功して見返すことができる」という精神論で帰結させているところがそっくりではないかと。  あれ、あの広告のビジュアルで、パイを投げられていた女優さんは、確か……(女優さんに罪はありませんが)。 <文/小政りょう>
小政りょう
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦
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