
「結婚後に夫の不貞が発覚し、『もうしない』という約束のために『夫婦間契約書』の作成に来たご夫婦がいらっしゃいました。こういった夫婦間の契約書は難しいもので、日本の民法には、『夫婦間の契約はいつでも取り消せる』という規定(754条)があるんです。つまり、仮に夫婦間で契約しても取り消されてしまう可能性があるわけです」
「こういった夫婦間の契約書が、全く意味がないかというとそうでもありません。不貞行為の証拠になりますし、場合によっては取り消しできないこともあるので、ご夫婦の関係修復に大きく貢献するケースもたくさんあります。ただ、先ほどの民法との関係で不安定なものにならざるを得ないので、できれば結婚するまえに締結されておいた方が安心でしょう」
なるほど! 結婚中に何か起きて、今後のルール決めのための契約書作成は、場合によっては認められないこともあるようです。
「夫婦間の契約は途中で夫側がしり込みすることもあります。『次に不貞行為があったら離婚の協議に応じて慰謝料〇〇〇万円支払います』なんて約束しようとしても、いざ署名押印するとなると二の足を踏んでしまい、結局そのまま離婚されるご夫婦もいらっしゃいます」
先生、それ思いっきり修羅場ですよ!と笑ってしまいましたが、事実婚はお互いの結婚の意志が強い場合が多く、トラブルに発展することは少ないそうです。結局制度よりも2人の意志が大事ということですね。