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熟年離婚で自由になりたい女性の胸中。『離婚なふたり』に見る熟年クライシス

 ドラマ『離婚なふたり』(テレビ朝日系、前後編、後編は今夜11時15分~)先週放送の前編を見て興味を惹かれた。結婚23年、熟年と呼ばれている夫婦の危機がそこにあった。  2組に1組は離婚すると言われた時期もあるが、2017年の日本の離婚率は1.70(人口千対)。そもそも離婚件数は2002年の2.30をピークに減少し続けている。これは「離婚が減った」のではなく、そもそも少子化で婚姻件数が減り続けていること、事実婚などが増えていることによるものだと思われる。  その中で、結婚20年以上の「熟年離婚」だけが毎年4万件前後、離婚総数に占める割合は17パーセント。数値として横ばいだから、熟年離婚が増えていると思われても不思議はない。(厚生労働省「平成29年 人口動態統計月報年計(概数)の概況」「平成29年 人口動態統計の年間推計」より)  夫婦の理想像を描かせたら右に出る者はいない脚本家・野田隆介(リリー・フランキー)は、ある日突然、妻の今日子(小林聡美)に離婚を切り出される。「妻は、いて当たり前」だと思っていた隆介は最初取り合わないが、今日子が本気で言っているとわかってからはただ慌てるばかり。一方で、今日子は離婚した女友だちの紹介で弁護士(岡田将生)のもとへ相談に行く。だが、自分でも「離婚したい理由」「婚姻を継続しがたい重大な事由」が見つからずにモヤモヤする。  結婚して20年以上がたち、子どもたちも独立。夫婦ふたりだけの生活になったとき、ふと自分の人生の来し方行く末を考え始める女性は少なくない。

「夫のためだけに生きていくの?」熟年離婚を経験した女性の事例

 2年前、54歳で離婚したカヨさんは50歳を前に離婚を現実的に考えるようになったという。 「夫の両親から自営業を引き継いで、二人三脚でがんばってきた。舅姑の世話、子どもふたりのめんどう、家事、そして自営業。27歳で結婚してからがむしゃらにがんばってきました」  だが、舅姑を見送り、子どもたちも独立して夫婦ふたりだけの生活になると、カヨさんの中で何かが壊れた。夫は「これからはふたりでのんびりやっていこう」と言ったが、自分の人生はこの夫のためだけにあったのだろうかと悩むようになってしまったのだ。
離婚

写真はイメージです(以下同じ)

 二人三脚だと思っていたのは、そう思わなければやってこられなかったからだ。仕事はともかく、「家」にまつわること、「家族」にまつわることはすべて自分が中心だった。夫は自分の親のことさえ私に任せきりだったではないか。舅の葬儀のとき、実はカヨさんの父親は大手術を受けていた。自分の親の手術のときに病院に行くことさえできなかったのだ。 「ずっと封印してきた不満が一気にわき上がってきたんです。夫は私に何をしてくれたんだろうと思う。何もしてくれなかった。そしてこれからもこの生活が続くのかと考えたら、身体が悲鳴を上げてしまいました」  更年期も重なって51歳のときに倒れた。決定的な病名はつかないのだが、身体に力が入らず、何もやる気が起こらないのだ。
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「おかあさん、もう自由になってもいいんじゃないの?」
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