2年つきあったところで、彼は彼女と娘が住むマンションのすぐ近くに越してきた。そして今はほぼ一緒に生活している。
「お互いに逃げ場があったほうがいいと思うので、完全同居には踏み切れずにいます。彼も仕事を持ち帰ったときは自宅に戻ったほうがはかどるようですし」
娘はこの春、高校3年生になったばかり。彼に受験勉強の相談をしたり、実際、彼が勉強を見てくれることもあるという。
「彼、塾の数学講師なんですよ。
娘は理系なので、彼をすごく頼りにしている。彼も娘に対して真摯に向き合ってくれてる。一方で、私と彼はとても気楽な関係です。それでも娘の前では気を遣っています。
娘もそれを感じるのか、ときどき『ふたりきりにしてあげるよ』と、私の母のところや友だちの家に泊まりに行くんです。そんなときは、私と彼はずっとだらだらいちゃいちゃ過ごしてる」
最近は周囲もふたりを「夫婦」のように見ているそうだ。ただ、
婚姻届を出すかどうかについては未定だ。
「
婚姻届を出すメリットがあまりないんですよね。現実にふたりに信頼関係があればそれでいいし、周りの目も別に気にならないし」
形より内容。自分たちが自分たちの関係を信じられればそれがいちばんいい。結婚という形をとると、自分がまた「いい妻にならなければ」と勝手にプレッシャーを感じてしまうかもしれないとヒロカさんは怖れてもいる。
「
ひとりの人間同士として信頼しあうことが大事。彼はそんなシンプルだけど重要なことを教えてくれたような気がします」