卵は冬場は57日間ナマで食べられる。賞味期限を守って損している現実
あなたのお家は、食品をどのぐらい捨てていますか? 賞味期限を過ぎちゃった、野菜がシナシナになっちゃった、買ったけど食べきれない…。
実は日本の食品ロス(まだ食べられるのに捨てられた食品)はなんと年間643万トンで、そのうち291万トンが家庭から出ています(※環境省、平成28年度推計値)。これは社会問題になっており、5月24日には、食品ロス削減法が参院で可決され成立しました。
そして食品を捨てる原因の一つ、「賞味期限」を、私たちは大誤解しているというのです。『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』の著者で、食品ロス問題に長年取り組んでいる井出留美さんに取材しました。
――前回の記事では、4人世帯で年間6万円分も“まだ食べられる食品”を捨てている計算になるということでした。その原因の一つに「賞味期限」があると。ご著書に書かれていた「冬場は、卵は57日間、生で食べられる」というのは衝撃でした。
井出:卵は「夏場に生でたべる」ことを前提に、産卵後1週間以内にパックし、パックしてから2週間後の日付が賞味期限になっているんですね。なので、気温10度以下の冬でしたら、産卵後57日間は生で食べられるし(※)、賞味期限が切れても、加熱すれば十分食べられますよ。
※日本卵業協会HP参照
――火を通して食べるなら、2か月は余裕だと。
井出:ちなみに、家庭の冷蔵庫で保存する場合は、ドア内側の卵ケースではなく、パックのまま冷蔵庫の奥へ入れてください。ドア内側だと、ドアの開閉のたびに揺れますし、温度変化が大きいです。
――本でも指摘されているように「賞味期限はあくまでアバウトな『目安』」なんですね。さらに、「消費期限」と「賞味期限」は違うんですよね。
井出:日持ちのしないお弁当やサンドウィッチ、お惣菜に使われるのが「消費期限」。これは「食べて安全な」期限なので、守って食べ切ったほうがいい。
一方、賞味期限は「美味しく食べられる」期限だから、期限をすぎても食べられるんです。
ただ、消費期限も賞味期限も、自分の鼻や舌で判断することが大事だと思います。例えば、クリスマスケーキをワンホール、「消費期限が今日だから」と、無理して食べきる人っていないですよね。そこは各自の判断です。

賞味期限を守りすぎて、食品を捨てている

賞味期限と消費期限の違い、知ってますか?
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