卵は冬場は57日間ナマで食べられる。賞味期限を守って損している現実
書かれた賞味期限より2割ぐらい長い
井出:メーカーは出荷された後の保存状態を把握することができませんから、品質が変わってしまうなど、さまざまなリスクを想定して短めにしているんです。消費者庁が推奨している安全係数は0.8以上です。
――0.8ということは、「美味しく食べられる期間」が10か月なら、賞味期限は8か月と書いてあるわけですね。食べる側は、「書かれた賞味期限より2割ぐらい長い」と考えてもいい。
井出:そうです。ただ、会社や商品によっていろいろで、私の取材だと冷凍食品で0.7、1年以上もつ食品でも0.66に設定していたりしています。0.3という安全係数を使っていた会社もありました。
――0.3!? 100日間おいしく食べられるのに、「賞味期限30日」と書くわけですね?
井出:だから、賞味期限を厳密に守るのって、言葉は悪いんですが、ある意味、愚かなんです。ただ、賞味期限がどうやって設定されているかというこうした背景がわかると、自分でも判断しやすくなりますよね。
もちろん、保存状態がちゃんとしていることが前提ですし、小さいお子さんや高齢の方、また、体調が悪くて免疫力が落ちている時などは注意が必要です。
あと、缶詰の賞味期限は3年間ですが、基本的には半永久的にもつんですよ。缶の中に材料を入れる真空調理なので、菌が混入しませんから。
缶詰の賞味期限3年というのは、缶そのものの品質保持期限は3年間なので、3年で区切っているだけなんです。
加工食品の賞味期限は、日付がないほうが良心的
博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊、日本ケロッグ等に勤務。3.11食料支援で食料廃棄に憤りを覚え、(株)office3.11設立。日本初のフードバンクの広報を委託された。著書に『賞味期限のウソ』(幻冬舎新書)、Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018受賞
<文/鈴木靖子> 1
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