ペットショップや猫カフェの設備にも細かい基準が必要
2018年7月に「猫カフェMOCHA」の立川店で起きた、パルボウイルスによる猫の死亡事件をご存じでしょうか。パルボウイルスに感染した猫5匹が次々と亡くなり、元スタッフと思われる人がtwitterで告発。数日後に、社長がようやく関東の約10店を一時休業にしたのです。
その後、
「週刊朝日」(オンライン)の取材によって、病気の猫を隔離する部屋がなかったなど、実態が明らかになりました。
こうした事件や、劣悪な繁殖業者・ペットショップが社会問題化していることを受けて、飼育施設の広さや構造を
具体的な数値で規制することも検討されています。
現在の動物愛護法には、飼育施設などに関する具体的な数値が記されていません。それは、施設経営者の「これくらいでいいだろう」という油断を生む原因になっているのではないでしょうか。

猫カフェ(写真はイメージです)
そして、近ごろでは飼い主のいない猫の里親を探す「保護猫カフェ」が全国的に増えてきているからこそ、ペットショップだけでなくアニマルカフェの飼育施設の数値を具体化することも大切なように思えます。
「命を救いたい」という気持ちが強いオーナーは、少々無理をしてでも動物たちを助けようとします。ところが、ほんの少しの無理が積み重なると「多頭飼育崩壊」(たくさんの動物を飼おうとして、飼育しきれなくなる)という悲しい事件が引き起こされてしまう危険性は十分にあります。命を救う側と動物たちが共倒れにならないためにも、明確な基準を設けることは必要なのです。
また、繁殖回数を法で規制することも、悲しい命を増やさないための第一歩です。実際、ヨーロッパやアメリカでは、
繁殖が可能な年齢や一生のうちの繁殖回数が法で決められています。パピーミル(子犬工場。大量に繁殖させて売る)のような悪徳ブリーダーを取り締まることは、法律が変わってもなかなか難しいもの。
ですが、現在の動物愛護法にある「曖昧さ」をなくしていくことができたら、日本も動物先進国に近づいていけるはずです。
「動物は命あるもの」。そういわれても、今の法律(民法・刑法)で動物たちはモノと同じ扱いになっています。彼らが「命あるモノ」ではなく、「命ある者」として多くの人に認識される日まで、法改正に期待し続けていきたいです。
<文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>
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愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:
@yunc24291