それ以来、メイクに目覚めたYさんは眉毛を整えたり、暇さえあれば美顔ローラーでマッサージをしてむくみを取ったりと…
理想であるお母さんの顔を目指して毎晩メイクをして、写真を撮るようになりました。
「最初は『Y子ちゃん可愛いね~』なんて言って私も楽しんでいたのですが…日に日にエスカレートしてきたんですよ」
Yさんは「僕、ずっと女子が美顔アプリを使って別人のような顔に修正するのって意味が分からないと思っていたけど…今ならよく分かるよ。自分が綺麗に写っているのって本当に嬉しいものだよね」と言うと…。
実は、
徐々にお母さんの顔に似せる事より「綺麗になりたい」という気持ちの方が強くなってしまったと里美さんに打ち明けました。
「でも別に女になりたいとか、そういうんじゃなくて、仕事が終わって寝る前のリラックスタイムにちょっとこうやってメイクして写真を撮るだけだからって言うんですが…私、見ちゃったんですよ」
心配になりYさんがお風呂に入っている隙に、スマホをこっそりチェックした里美さん。
「
インスタに女装男子としてアカウントを作り、自撮りをバンバンアップしていたんですよ!これって明らかに誰かから綺麗だって言われたいって事ですよね?」
このままいくと、近いうちに女装姿で飲みに行くようになりそうで怖いんだそう。
「あくまで趣味の一環ならいいのですが、私の全く知らない世界にYが足を踏み入れて、
新たな自分に目覚めてしまい、帰ってこなくなったらどうしようって不安なんですよ…」
里美さんがこんなに心配しているのも知らずに、今夜もインスタに自撮りをアップするYさんなのでした。
<文&イラスト/鈴木詩子>
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漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:
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