年が変わる頃には、ケフィは1日のほとんどを眠って過ごすようになりました。
ぐっすりと眠っている姿は「泳ぎすぎて疲れちゃった!」と爆睡していたときと同じようなのに、ケフィにはさまざまな変化が起きていました。

もう自分で寝返りが打てないし、水も飲めません。
飲み込みも難しくなって、口へと運んだ水で「あわや溺れるか!」となったこともありました。水分補給がままならず、12月29日にはおしっこが出なくなって再び夜間救急へ。検査で膀胱炎と分かりました。
ついこの前まではうんちが出るかでないか、下痢をしてるかどうかに一喜一憂していましたが、今度はおしっこがちゃんと出るかどうか、すぐにおむつを替えて拭いてあげられるかどうかに神経をとがらせました。
食べ物はほとんど受けつけないので、ペースト状の栄養補助剤を口のなかに塗ったり、流動食を注入器で流し込みました。それも飲み込むより口の端から流れ出るほうが多いくらいです。
かつてのケフィなら“ひと舐め”で空になっただろう小さな流動食の缶に書かれた「1日に与える量の目安」を見て、私は何度も泣きたくなりました。ケフィの体重では1日に20缶も飲ませなければなりません。それは果てしない作業でした。
「先週はこうじゃなかった」「昨日はもっと違ったのに」ということが次々と起きて、私はまったくついて行けずにいました。
私よりうんと後に生まれて、ずっと子どものように思ってきたケフィが、老いて、私を置いて逝こうとしている……。その現実を目の前に、私の気持ちの整理が着かないままケフィの人生だけが先へ先へと進んでしまっていました。
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<文/木附千晶>
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