現在も秋さんは進さんと夫婦であり続けているが、その心境は複雑。子どもがいる暮らしへの憧れは年を重ねるごとに焦りへと変わっているよう。
「友達が気を使って、なるべく子どもの話題を出さないようにしているのが感じ取れるのも辛いです。」
そんな彼女が今、一番目にしたくないのがLINE。仲のいい女友達と5人でグループトークを組んでいるが、自分以外の4人はすでに出産を経験しているため、ふとした時に子どもの話題がトークで流れてくる瞬間が痛いのだといいます。
「
5人の中で1番早く結婚したのに出産は先を越されてしまったと、友達にマウンティングされたように感じてしまう自分も嫌で…。」
相変わらず進さんとの会話も少なく、夫婦の形が分からなくなった秋さんは離婚も視野にいれながら、自立への道を歩み出しています。――もし、何の問題もなく子どもが生まれていたら秋さん夫婦はどんな家族になっていたでしょう。そして、進さんはどんな夫に、父親になっていたでしょうか。
秋さんの体験談を知ると、子どもができない苦しみを受け止めることが難しいのは女性だけでなく、男性にも言えることなのかもしれないと思わされます。
男性の中には進さんのように、自分に不妊の原因がある可能性が高くても、それを認めたくなくて見て見ぬフリをしてしまう人も少なくないはず。もし夫がそうした行動を取ったら、妻である自分はどうしたらいいのかと考えさせられてしまいます。
「子はかすがい」という言葉がある世の中で子なし夫婦が硬い絆を結び続けていくには、もしかしたら“子ども以外の何か”で繋がり合うことが必要なのかもしれません。
<文/古川諭香>
⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】古川諭香
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:
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