ネットで話題「2週間で10キロ痩せるダンス」は本当に痩せる?プロが検証
柔道整復師/パーソナルトレーナーのヒラガコージです。
15秒から1分ほどの短尺動画投稿プラットフォームTikTokを中心に若者の間で流行している「ハンドクラップダンス」はご存知でしょうか。なんでも2週間で10キロ痩せると話題なんだとか。
この元ネタとなったのが、韓国の2人組ダイエッターJosh&BamuiがYouTubeに投稿した「2週間で10キロ痩せるダンス」という動画。「HandClap」という曲に合わせてノリノリで踊るダンスは楽しそうでやってみたくなりますよね。
しかし「2週間で10キロ痩せる」という魔法のようなこの言葉。インパクトは大きいですが本当に効果があるものなのか、スポーツトレーナーの目線から検証したいと思います。
このダンスをみて最初に受けた感想は「エアロビクスに近いな」でした。ダンスの冒頭にて膝を曲げて身体の前後ろでかかとを触る動きはエアロビクスの「ヒールタッチ」と呼ばれる種目です。その後に続く動作もエアロビクスでは明確な種目名がないものの、軽く弾みながらリズムに合わせて手足を動かすものはダンス要素よりもエアロビクスに限りなく近いものだと思います。
エアロビクスは体力トレーニングの一種で、リズムに合わせて持続的に身体を動かし続けることで、心肺機能の向上や脂肪燃焼効果をもたらす運動を指します。この動画では約3分間もの間、ノンストップで身体を動かし続けることでエアロビクスの効果を受けられるのではないでしょうか。
先述した通り、このダンス動画は脂肪燃焼効果のあるエアロビクスの要素があり、ダイエットには適しているものだと思います。たった3分間ではありますが、運動不足におちいる我々現代人にとって、3分間の有酸素運動は非常に貴重なものですし、それをリズミカルな音楽に合わせて楽しく行うことはポジティブに運動ができる良きアイディアでしょう。
また、踊り自体もあまり作り込まれているものではなく、動き自体もシンプルで強度の低い動作であることも持久系の筋力を優先的に使う運動になり、有酸素効果、脂肪燃焼効果が期待できます。
では実際に2週間で10キロ痩せることは実現できるのでしょうか。結論から言えばかなり難しいです。
体重が減っていくメカニズムは「カロリー」にあります。食事などの栄養補給によって摂取する「摂取カロリー」と、日常生活動作から運動まで全てにおいて消費される「消費カロリー」との関係が体重の増減につながります。
摂取カロリーが消費カロリーを上回れば体重増加に近づきますし、逆に消費カロリーが摂取カロリーを上回れば体重減少に近づいて行くわけです。
脂肪を1キロ減少させるためには消費カロリーが摂取カロリーよりも7,200キロカロリー上回ることが必要です。このダンスの運動強度から3分間の消費カロリーは1回につき23キロカロリー程度と予測がつきます。
これに日常生活動作からなる基礎代謝(成人男性:1,500キロカロリー/成人女性:1,200キロカロリー)が上乗せされたものが1日の合計消費カロリーになるわけです。2週間で10キロ痩せるためには、消費カロリーが摂取カロリーよりも72,000キロカロリーも上回らねばなりませんから、相当な食事制限が必要になるはずです。
このダンスを継続的に行うことで10キロ痩せられる可能性はあるかもしれませんが、2週間という期限をつけてしまうと実現するにはかなり難しいですし、このダンスだけをして他のダイエット活動を無視してしまうと目標達成の実現は無理に近いと思います。
サブタイトルのように超短期間で結果を残すことは難しそうですが、運動を始めるきっかけとしてこのようなダンスに取り組むことはとてもいいことだと思います。運動不足な方は是非チャレンジしてみてください。
<文/ヒラガコージ>
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動きは限りなくエアロビクスに近い
脂肪燃焼効果は期待できる
二週間で10キロ痩せるのは難しい

ヒラガコージ
柔道整復師/パーソナルトレーナー。スポーツクラブでインストラクターとして指導をし、現在は医療国家資格である柔道整復師の知識を生かした身体機能の改善からダイエットまで幅広いクライアントを担当するフリーランスのパーソナルトレーナーとして活動中。Twitter:@fifth_petal