目指したのは、日本映画の主流の裏側にあるものへの挑戦
――昨年、
『ルームロンダリング』で取材させていただいた際に、自分は20代の頃から変わっていないとお話されていました。同時に、40代なりの身のこなしが必要になってきているのかなと思ってもいると。その後、心境の変化はありましたか?
オダギリ「俳優としてのスタンスは変えようがないですよね。20代、30代のころからずっと続けてきていることですから。とはいえ、40代ともなると新人ではないし、スタッフや共演者を見てみても中堅みたいな立ち位置になる。監督やカメラマンも年下が増えてきていますし。そうしたなかで、後輩たちに色々と伝えていかなきゃいけない世代になってきたのかなとは感じます」
――それは直接的にですか? それとも現場での姿を通して?
オダギリ「僕は口では全然言わないですね。だから現場でそれとなく、でしょうね」

――最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
オダギリ「きっと最近の映画は、スピード感重視で、テンポをあげて見やすく作っているものが多いと思います。これは泣けます、これは笑えますという、分かりやすくて宣伝のしやすい映画。あとは原作モノだったり。でも映画って、本当はいろんなタイプのものがあるべきですよね。今の日本映画は、多様性を失っているようで、非常にもったいない状況にあると思うんです。
この映画が目指したのは、そうした今の日本映画の主流の裏側にあるものへの挑戦です。時間の流れ方だったり、人の描き方だったり。流行りのものとは全く違うと思いますが、だからこそ感じられる何かがきっとあると思う。ですから、ぜひ映画館で身を置いて、一瞬立ち止まる気分で、この映画を観てもらえたら嬉しいです」
(C) 2019「ある船頭の話」製作委員会
<文・写真/望月ふみ>
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望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。
@mochi_fumi