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糖質オフしすぎてウンチが臭くなった!その怖~い理由とは?

「糖質を控えてたんぱく質はしっかり摂る」というのが、いまやダイエットと美容の常識。 「糖質を摂りすぎると体脂肪がたまる」「たんぱく質は美肌や美髪に欠かせない」――ということで、適度にやるぶんにはいいのですが、やりすぎると思わぬ逆効果を引き起こすことがあるんです。 大腸劣化イラスト1

いきすぎた糖質オフで、恥ずかしいことに……

「糖質オフを徹底するために、ご飯やパンを完全にやめて主食はお肉と野菜にしました。朝はプロテインドリンク、昼と夜はサラダと肉料理か卵料理を食べる、という生活を続けていました。  そしたら……いつのまにかウンチとオナラがすごく臭くなった気がするんです! しかも、思ったより痩せないし、お肌もカサついてきた感じで……」  と言うのは、30代のある女性。ダイエットと美容にいいことをしたはずなのになぜ? 糖質オフブームのいま、こういう女性が増えているそうです。

美容の大敵「大腸劣化」が起きている

 糖質オフでこうした変化が現れた人の体内では、「大腸劣化」が起こっているとか。  いったい「大腸劣化」とは何なのでしょうか? 帝京平成大学・健康メディカル学部・健康栄養学科の松井輝明教授に話を聞きました。 「大腸は“ウンチをつくるだけの器官”と思われがちですが、実は腸内細菌が多く棲み、全身の健康と深く関わるとても重要な器官。ウンチやオナラが異常なニオイになるのは、腸内細菌のバランス(腸内フローラ)が崩れ大腸本来の機能が劣化している、わかりやすい症状のひとつです。  大腸劣化の怖いところは、大腸でさまざまな毒素が発生し、その毒素が血流に乗って全身に広がること。体中にあらゆる不調が引き起こされてしまいます」(松井先生、以下同) 大腸劣化から全身のトラブルへ 肌荒れや、代謝が悪くなって太りやすい体質になるなどのトラブルのもとにもなるそうで、まさに大腸劣化は美容の大敵。これは放置できません!

糖質オフと大腸劣化の意外な関係

 でも、どうして糖質オフが大腸劣化の原因になるのでしょうか? 「いきすぎた糖質オフでは炭水化物を極端に制限しがちですが、炭水化物は糖質+食物繊維なので、自然と食物繊維の摂取量まで減ってしまいます。食物繊維は、大腸内で善玉菌のエサになる大切なもの。このエサが不足することで、腸内環境が悪玉菌優勢になってしまうのです。  一方、たんぱく質は悪玉菌のエサになるので、過剰なたんぱく質摂取もまた腸内環境を悪玉菌優勢にしてしまいます」  さらには、脂肪の多い肉などの動物性高脂肪食も悪玉菌のエサに。それらを好んで食べる欧米風の食生活も、腸内環境を悪玉菌優勢にするとか。つまり、 ①炭水化物抜き ②たんぱく質ブーム ③さらなる食の欧米化  という、現代人がハマりがちな食習慣が、大腸劣化の3大原因になっているのです。 肌荒れ「悪玉菌優勢=腸内細菌のバランスが崩れるということ。その状態が続けば大腸はどんどん劣化し、全身にさまざまなトラブルが起こるようになってしまいます」

大腸劣化で、肌トラブルや太りやすい体質にも

 そもそも、消化器官の終点である大腸は老廃物や有害物質などがたまりやすく、炎症も発生しやすいそう。 「大腸劣化が進むほどその傾向が強くなるので、便秘や下痢、腸炎といった消化器系トラブルが起こりやすくなります。また、大腸劣化は大腸がんリスクも高めることに。近年、日本人の大腸疾患は増えており、がんの部位別死亡率を見ると大腸がんでの死亡率が女性で1位になっています。それほど大腸劣化を起こしている人が多いのでしょう」 大腸がんグラフ そのほか、脳と腸は密接に関わっているという研究もあり、大腸劣化はうつや不安症などの原因となる可能性も考えられるとか。このように大腸劣化によるトラブルは多岐にわたりますが、やはり女性として見逃せないのは、「肌トラブル」や「代謝関連トラブル」です。 「腸内で作られる毒素の中には、全身に回ることで肌の乾燥やしわ、吹き出物などを引き起こすものがあります。また、腸内細菌の中には代謝に深く関わるものがあり、そのバランスが崩れることで代謝が落ち、冷えやすくなったり太りやすくなったりすることがあるのです」  大腸劣化が、このような形で美容に悪影響を及ぼしていたとは……。いくら頑張っても、いきすぎた糖質オフは逆効果になりかねないのです。

“やせ酸”と呼ばれる「スーパー物質」が不足する

 大腸を元気にして肌や代謝を改善するには、大腸劣化の根本原因を知り、そこをフォローしなければいけません。 「大腸劣化は、悪玉菌優勢になった大腸内で“ある物質”が不足することでどんどん進行していきます。それは、『短鎖脂肪酸』というスーパー物質。短鎖脂肪酸には『悪玉菌を抑制』『抗炎症作用』『全身のエネルギー源となる』といった重要な役割があり、全身を健康に導いてくれます。さらに、脂肪の過剰な蓄積を防ぎ『痩せ体質へと導く』という働きもあります」  この働きから、「やせ酸」とも呼ばれる短鎖脂肪酸。「じゃあ、短鎖脂肪酸を摂ればOKってこと?」「いますぐ体に取り込みたい!」と思いますよね。でも、残念なことに短鎖脂肪酸は食べ物から摂ることはできないのです。

「ビフィズス菌と食物繊維」を摂って”やせ酸”を増やそう

 じゃあ、一体どうすればいいのかというと、自分の大腸の中で短鎖脂肪酸を増やすしかありません。 「短鎖脂肪酸は、大腸の善玉菌であるビフィズス菌などが食物繊維などを食べることで産生されます。つまり、短鎖脂肪酸を増やしたいなら、ビフィズス菌などの大腸の善玉菌を含む食べ物と、そのエサとなる食物繊維を含む食べ物の両方を、日常的にしっかり食べればいいのです」 ヨーグルト

注目が集まるビフィズス菌。乳酸菌とはまったく別物だった!

「ビフィズス菌」といえば聞きなれたおなじみの菌ですが、その正体をちゃんとご存知でしょうか? 「ビフィズス菌はよく乳酸菌の一種と間違われていますが、まったくの別物。  同じ善玉菌ではありますが、乳酸菌は小腸に、ビフィズス菌は大腸に多く棲みます。そして何より、ビフィズス菌は短鎖脂肪酸を作ることができますが、乳酸菌には作れません。  ほかにも整腸作用や免疫力向上、アレルギー予防などの働きもあるビフィズス菌ですが、加齢や食生活によって、成年期以降はどんどん減少していってしまいます」  じゃあ、ビフィズス菌を外から補給しよう!と思っても、残念ながら、酸素に弱いビフィズス菌は普通の食材に含まれていません。  食品で手軽に摂るなら、「ビフィズス菌入りヨーグルト」がオススメ。ヨーグルトを選ぶ時は、パッケージに「ビフィズス菌」と書いたものを探しましょう。  

大腸にいい食事は、手抜きゴハンでも実現できる

 食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類がありますが、ビフィズス菌など善玉菌のエサになるのは水溶性食物繊維(※)。つまり大腸を健やかに保つには――。 ビフィズス菌入りヨーグルト(大腸の善玉菌)+水溶性食物繊維(善玉菌のエサ) を一緒に摂るのが理想的なのです。 ※水溶性食物繊維が豊富な食物…大麦、海藻(わかめ、ひじき等)など  水溶性・不溶性とも含む食物…キウイ、アボガド、ごぼう、にんじん、じゃがいも、納豆など
大腸のいい食事

大腸によさそうなランチの例。全部コンビニで買っただけ!

 たとえば、上の写真はコンビニでそろえた「大腸によさそうなランチ」の例です。  大麦入りおにぎり、鶏スモーク、ごぼうとひじきのサラダ、キウイ、ビフィズス菌入りヨーグルト。  そう、手間をかけなくたっていいんです。  糖質オフはほどほどに、ビフィズス菌入りヨーグルトと水溶性食物繊維はしっかりと食べ、健康はもちろんやせ体質と美肌も手に入れましょう! 大腸劣化イラスト2

「大腸劣化」と対策について 詳しくはコチラ>>>

<取材・文/持丸千乃 イラスト/ただりえこ 提供/「大腸劣化」対策委員会>
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