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子供の足が速くなる2つの方法を現役プロサッカー選手が考案

 子どもの頃、足が速いとクラスのヒーローですよね。足の速い子と自分を比べて、悔しい思いをしたりしたものです。今回は、そんな「足が速くなる」方法を、ベルギーのKRCヘンクで活躍する現役プロサッカー選手の伊東純也選手に聞きました(以下、伊東氏による寄稿)。
伊東純也著『子どもの足がどんどん速くなる』(アスコム刊)

現在はベルギーのKRCヘンクで活躍する、現役サッカー選手伊東純也さん

走るのが苦手な子にとって、運動会は残酷

 長い夏もようやく終わり、秋がやって来ました。 「もうすぐ運動会だ!」とワクワクしているお子さんは、きっとたくさんいるはず。  私も子どものころはそうでした。かけっこには自信があったので、運動会で活躍して、友だちから「すごい!」「格好いい!」と言ってもらえるのがなによりも快感でした。しかし世の中、運動会が好きなお子さんばかりではありません。「はあ……またみんなに笑われるのか……」と暗い表情でため息をつく子も少なくないのです。
運動会 子ども

写真はイメージです

 運動会は残酷です。足の遅いお子さんは、花形種目のリレーで抜かれて、クラスメイトに「あいつ、なにやってんだよ」と罵られたり、「あいつだせー」と不格好な走り方を笑われてしまう。  このつらい体験が、運動会の一日だけで終われば、まだいいでしょう。ところが、それは長く尾を引く可能性があります。運動会での失敗が影響して、別のことにまで自信を失ってしまう。そんなお子さんが少なくないのです。  運動会で仲間からつまはじきにされたり、笑われたりしたことがコンプレックスになり、運動に加えて勉強や対人関係などすべてに臆病になってしまう。そういうケースは実際に数多くあります。  私はそんな運動会が苦手なお子さんと、その保護者の方々に次のように訴えています。

足の速さは生まれつきではない

「かけっこが苦手になってしまったせいで自信が持てなくなったということは、かけっこで自信をつかめば、すべてに自信が持てるということ。それはみなさんが思うほど、難しいことではないのです」  世の中には、足の速さについての大きな誤解があります。それは足の速さは生まれつき決まっている、という思い込みです。 「私が遅いのだから、息子が遅いのも無理はないです」とあきらめてしまっている保護者の方はたくさんいます。
伊東純也著『子どもの足がどんどん速くなる』(アスコム刊)

伊東純也著『子どもの足がどんどん速くなる』(アスコム刊)

 しかしかけっこは、正しい走り方を少しでも学べば、すぐに結果が出ます。書道やリコーダーと同じように、コツさえつかめばすぐに上達する。そのかけっこが速くなるコツを、私は拙書『子どもの足がどんどん速くなる』(アスコム刊)にまとめました。その中から、ふたつのメニューを紹介します。

30秒片足立ち

 ひとつは『30秒片足立ち』。このメニューの目的は、正しい足の高さを身につけること。 伊東純也著『子どもの足がどんどん速くなる』(アスコム刊) 足が速くなるために一生懸命もも上げをするお子さんがいますが、逆効果になるケースが少なくありません。というのも、足を上げすぎると上体が反り返り、加速がつかなくなってしまうからです。  速く走るために適切な高さは、ひざが「く」の字になるくらい。それが、このシンプルなメニューですぐに身につけられるのです。

ひじパンチ

 もうひとつは『ひじパンチ』。要は腕振りです。 伊東純也著『子どもの足がどんどん速くなる』(アスコム刊) かけっこが遅いお子さんは、しっかりと腕が振れていないケースが少なくありません。腕を上下、左右に振ったり、ひじから先だけを振ったりしても、スピードは出ません。  ひじを振るというより…… ①肩を中心として ②ひじを素早くうしろにパンチする  これがスピードが出る腕振りです。難しいメニューではありません。親子でやるのがおすすめですが、ひとりでもできますし、部屋の中でも、テレビを見ながらでもできます。 『30秒片足立ち』や『ひじパンチ』を紹介すると、お子さんや保護者の方々は半信半疑になります。 「え? たったそれだけで速くなるの?」  でも実際にやっていただくと、みなさん驚かれます。確実に速くなるからです。かけっこが苦手な子ほど速くなります。正しく努力すれば、苦手なものも克服できる。  かけっこから得た自信。それは長い人生を歩んでいく子どもにとって、これから直面する多くの壁を乗り越えるかけがえのない財産になるはずです。

楽しみながら正しく努力すれば、苦手は必ず克服できる

 最後にひとつ、保護者のみなさんにメッセージがあります。それは楽しむ姿勢を忘れないで、ということ。  苦手なものを克服しようとする、子どもを精一杯後押しする。そのことは素晴らしいですが、熱が入りすぎると反対にお子さんが冷めてしまうことがあります。こうなるとなかなか結果はついてきません。  ですから前述の一文「正しく努力すれば、苦手は必ず克服できる」は、こう変えるとさらに良くなるかもしれません。  楽しみながら正しく努力すれば、苦手は必ず克服できる。  さあ、ちょっとの努力で運動会への苦手意識を取り払いましょう。その先には、きっと明るい未来が待っているはずです。 <文/伊東純也> ■伊東純也(いとう・じゅんや) プロサッカー選手。AFCアジアカップ2019日本代表。1993年3月9日生まれ。神奈川県横須賀市浦賀出身。地元の鴨居SCでサッカーをはじめる。その後、横須賀シーガルズ、神奈川県立逗葉高等学校、神奈川大学を経て、ヴァンフォーレ甲府に入団。2015年に、プロデビュー。2016年に柏レイソルへ移籍。翌2017年に日本代表に初選出され、同年のJリーグ優秀選手賞を受賞した。2019年2月にベルギー・ジュピラー・プロ・リーグ、KRCヘンクに移籍し、圧倒的なスピードで活躍している。
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