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ちょいエロ副業の舞台裏。1日2万稼げるチャットレディで心が壊れた

毎日出社。個室にこもって電話対応

 二人目の麻友子さん(仮名、38歳)がバイトをしていたのは、インターネット上の出会いが一般的ではなかった頃の、テレフォンクラブ、いわゆるテレクラです。テレクラ(テレフォンクラブ)とは、男性が電話をかけて、女性とエロティックな会話を楽しむもの。現在でも「テレフォンレディ」で検索すると、求人がズラッと出てきます。サクラとして電話対応していた麻友子さんは、「意外と企業努力が欠かせない」と教えてくれました。 テレフォンレディ テレクラ 女性 電話「勤務形態は普通のアルバイトとそう変わりませんが、まずはオフィスに出社します。オフィスといっても事務所ではなく、マンションの1フロアのようなところ。そこに電話が置かれた待機個室が複数あり、出社連絡をしたらどこかの個室に入室します」  一畳ほどのスペースの個室には、電話とテーブルと座布団があるだけ。喫煙は自由なため部屋は汚く、あまり居心地は良くないとか。待機中はゴロゴロしてもいいし、共有スペースにある雑誌などを持ち込んで読んでいても大丈夫というのは、少し羨ましいところです。  ちなみに真面目な麻友子さんは大学の課題をしつつ電話を待っていたといいます。電話が鳴ったら取ってもいいし取らなくてもいいのですが、取らないと時給は発生しないので、稼ぐにはきちんと対応する必要が……。 「私は電話が来たらなるべく取り、世間話で時間を稼いでいました。わりと真面目だったので、いい成績を残していたと思いますよ」  そう話す麻友子さんですが、男性側は世間話を求めているわけじゃありません。その多くは下心全開のいわゆるオトナの会話……。

下心全開トークにどう対応すべきか

 テレクラとは色んな人がいるもので、「今どんな格好なの?」「こんな電話使って、エッチな気分なんでしょ?」「今全裸なんだけど……」と、受話器を取った瞬間オジさんの妄想全開トークが始まるのはしょっちゅうで、時には「ハアハアハア」と、受話器を上げた瞬間から何かがスタートしているような日も多いと麻友子さんは言います。  それでもお金を稼がねばいけない麻友子さんは必死です。オジさんのテンションに合わせて色んな女を演じますですが、とはいえ、苦労は尽きません。 「正直エロい女を最初から要求される方が、相手の都合のいい空気を演出すればいいだけなので簡単です。でも困るのが、『エッチな音』を要求された時です。エッチな声は出せばいいのですが、音? え? 音ってどこから何を聞かせればいいの? と、かなり困りましたね」  要するに濡れているような音を聞かせてあげればいいのですが、そんなの演技で聞かせることはできません。困り果てた麻友子さんは対応できず悔しい思いを何度かしつつも、研究に研究を重ねました。 テレクラバイト 学生 貧困 学費「まず、プリンやゼリーを買ってみました。混ぜるグチュグチュって音がそれっぽいかなと……でも音はあんまり聞こえなくて、逆に容器にスプーンが当たるカツカツって音がするので諦めました。次にペットボトルを倒したりする際に出るチャプンという音はどうかと思いましたが、これもいまいち。結局口で『ペチャペチャ』みたいな、それっぽい音を出して対応することにしました。大体の人が納得してくれましたが、よくよく考えたら、これって一体何の音だよって感じですよね!」  こうして苦学生時代を乗り切った麻友子さん。簡単という触れ込みに押されてやっていたとはいえ、中で知り合った人の中には、会話が続かず全然稼げない人も。簡単に稼げるものは世の中ないし、何事も企業努力は欠かせないと、当時の麻友子さんは痛感したそうです。真面目かっ! ―シリーズ「お金がない!」― <文/しおえり真生 イラスト/ワタナベチヒロ>
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