京子さんの通ったの女子校では、中学までは真面目だった生徒が、つきあう男性をきっかけに退学をしているケースも1人ではなかったといいます。

「小学生の頃に、私の腕をひっぱったり、わざと足をかけたりといじわるをしてきた同級生は、県内に何店舗も支店を出すほど繁盛していた飲食店のオーナーの娘でした。裕福だったので、サラリーマン家庭だったうちをバカにしていたんでしょうね。でも彼女の家は、その後倒産してオーナーが親せきに代わったりで、かなり波乱万丈だったみたいです。それでも
生活レベルを落とせないという見栄から、自営業の社長という男性と結婚したら、取引先に偽の商品を売りつけるようなビジネスだったみたいで……。今、彼女の夫はいわゆる詐欺罪などで服役中らしいです」
同窓会に来ていた“堅実組”も、当時のカースト上位組の転落について、やや嬉しそうに話していたそう。「他人の不幸は蜜の味」ということでしょうか……。京子さんは、
「地元に残った子たちには、東京に憧れつつも、東北最大の都市だから
『仙台でいいでしょ』や『女の子は地元で充分』という親に反対されて、上京ができなかったような子もいました。そんな子の一部が虚栄心を満たしたくて、ダメんずにハマっているように思いましたね」と、神妙な表情で語ります。
「学校行事の時には駐車場に外車が並んだり、母親が毛皮を着ていたりと、親世代が裕福な家の子が多かったんです。
なのでそういう価値観からすると、お金や虚栄心から裕福な自営業の男性や、医者や弁護士というような地元のエリートと付き合うのがステータスだったんですよね……」
男性の経済力に全てゆだねるために、自分の人生までも転落してしまう。京子さんの話から、価値観のすべてを他人に求めることの怖さを見た気がしました。
―シリーズ「
地方の闇/都会の闇」―
<文/阿佐ヶ谷蘭子 イラスト/カツオ>