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アンジー、新作『マレフィセント2』を語る。娯楽作に込めた社会問題とは?

娯楽作こそ社会の問題を多くの人に伝えられる

 自身のギャラの大半をチャリティに寄付することで知られ、慈善活動のほか、国連難民高等弁務官事務所の特使としての顔も持つ彼女。いわく、「定期的に大作に出演して稼いで、自分が興味のあるプロジェクトを支援している」というのは前作の取材時に聞いたことだが、そのスタンスは今も変わらない。  実写映画への出演は’15年の『白い帽子の女』以来4年ぶりだが、’17年にはアカデミー賞外国語映画賞のカンボジア代表作に選ばれた『最初に父が殺された』で監督も務めている。彼女の長男マドックスの故郷で起きた、ポル・ポト政権による虐殺を生き抜いた少女の物語だ。「社会派の作品を直球で製作するのは大事。だけど、より多くの人に訴えかけられるのは今作のような娯楽作なのよね」とアンジーは語る。 「今作では、マレフィセントがどういう生まれだったかが描かれる。前作でも十分恐ろしい存在だった彼女だけど、ある事件をきっかけにさらにパワーアップした存在になってしまうの。そこで見いだした場所が彼女本来の居場所なのか、そうではなくオーロラのいる国こそが彼女の場所なのか。人間界とそうでない世界の2つの世界の対立のさなか、自分の居場所を巡る葛藤が彼女に芽生えてしまうのね。それはすなわち、今、現実の世界で取りざたされている分断問題にもつながるストーリーだと感じ取ってもらえると思うわ」  調和を求める人、そうでない人。結局、分断というのは人の思想や感情によって起きること。それを超自然的存在である妖精のマレフィセントと、彼女の理解者であるオーロラの目を通して描いているのだ。  そのオーロラを演じたエル・ファニングは「前作での共演時、私は11歳。あれ以降、私にとってアンジーはお手本」と言うが、本作での息の合った芝居に、アンジーも彼女を絶賛している。 「エルはもはやファミリーの一人よ。周りが抱く印象よりもずっとタフだし、クリエーティブな精神を持っていて、今まで出会った人の中で一番ブレのない女性。なのに、いつもクールで何事もなかったかのようにしているのよね。彼女と再共演したことで、それまでには見えなかった、マレフィセントの新しいイメージを得ることができたのも事実よ。こんな人はそうそういないし、彼女のおかげで、よりマレフィセントを好きになったわ」  アンジーお気に入りのマレフィセントは、ディズニー・ヴィラン(悪役)としての人気も根強い。ハロウィンシーズンの公開ということもあって、「みんなでどんどんコスプレして!」と語る。 「子供たちを連れてディズニーランドに行くと、必ずマレフィセントの角のカチューシャをしている人がいるのよ。それも子供だけじゃなくて、大人もね。それを見ると、私とつながっている気がしてすごく嬉しいの。マレフィセントも私も、他の誰とも違う存在だと思ってる。そんなキャラクターを支持してくれるのは、多様な生き方を尊重してくれている証拠だと思うわ」  そんな彼女の次回作は、来年公開予定のマーベルの新作『エターナルズ』。『アベンジャーズ』の流れをくむMCUのフェイズ4に位置する大作だ。「MCUのように、あらゆる人に訴えかけられ、世界にコネクトしているシリーズに出演するのは本当に楽しみなの。期待していて!」 【アンジェリーナ・ジョリー】 ’75年、LA生まれ。’99年に『17歳のカルテ』でアカデミー賞助演女優賞を受賞。’00年の『トゥーム・レイダー』のロケでカンボジアを訪れたことを機に人道支援活動を始める。養子を3人迎え、現在は6児の母 <取材・文/よしひろまさみち>
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●『マレフィセント2 ’19年/アメリカ/1時間59分 監督/ヨアキム・ローニング 出演/A・ジョリーほか 配給/ウォルト・ディズニー・ジャパン 全国公開中
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