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義理の父に子供が殺される事件から思うこと/内田春菊

子どもたちを好きになり過ぎないよう気をつけている

 だけど男だけでもないんだね。街で、子を連れた女の人が、「親に向かってその言い方は何!?」とか言ってるのを聞くことがある。親に向かって散々なことを言い散らかしてる私は、その子の立場になって委縮してしまう。  親になるとは、何でしょう? いまだにわからない。人に紹介するときとか、区分けの関係上、親という場所にはいる。が、初めて子の大学のオープンキャンパスに行った時、「保護者の方は…」と声をかけられ、「私も入学希望者だったらどうすんのさ」と思った。俳優やってる娘といるとよくマネージャーと思われているが、それがとっても気に入っている(似てないからってのもありますが)。
内田春菊「私たちは繁殖している 1」 ぶんか社コミックス)

内田春菊「私たちは繁殖している 1」 ぶんか社コミックス)

 そりゃ小さい時はいろいろ教えたりしなきゃなんないだろうけど、いっぱしの口をきき出したらもう「わかるよね、うん」って放っておいてしたいことさせて、自分は自分のしたいことすればいいんじゃないだろうか。子どもが助けて欲しいとき、そう言って来られるようにだけしておいて。  私は子どもたちが好きだけど、好きになり過ぎるとちょこちょこフラれて一人で傷つくからよくないなと思い、行き過ぎないよう気を付けているのです。

子は家のものというのは「家&戸籍制度」が元凶

 まあそれどころではありませんね。いじめ殺してる人がいるんだから。いったいどういうことだ。自分の子じゃないからって言うんなら、ペットはいじめ殺してもいいのか。人間とは違う?  でも自分のこと考えたらよく生きてるなとも思う。実際私が初めて家出したとき、「死にに行った」と母と養父は思ったようです(そのくらいのことしてた自覚あったら止めてくれたらよかったのに)。
『ファザーファッカー』(著:内田 春菊、出版社:文藝春秋)

『ファザーファッカー』(著:内田 春菊、出版社:文藝春秋)

 もしかしたら日本で子を持った人が「親になったプライド(と権力)」を持ち過ぎるのは、子どもが国(とか世界)の財産でなく、まだまだ、私の大嫌いなあの「家&戸籍制度」を満足させるための何かだからなんじゃないでしょうか。子を助けようとしてる人に「人の家のことに口出すな」とか言っちゃうしさ。私もそのセリフで連れ戻されたことあるよ!子は家のものってことが壊れないと、家の中に囲い込まれて好き勝手にされる危険もあるんだからもうその戸籍制度やめましょうよ、あれがあるからいつまでも男が威張ってる気がするんだな~。 【参考インタビュー記事】⇒親に虐待された内田春菊が、子育てで守る3つのこと…絶対使わない言葉とは? <文&イラスト/内田春菊> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
内田春菊
漫画家、小説家、俳優、歌手。1984年漫画家デビュー。1994年『私たちは繁殖している』『ファザーファッカー』でBunkamuraドゥマゴ文学賞受賞。最近では自身の大腸がん・人工肛門の日々を描いた『がんまんが』『すとまんが』で大きな反響を集める。『ファザーファッカー』を実母の目線で描いた『ダンシング・マザー』を2018年に発表。
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