
奈緒美さんの熊手
「な、なんだコレ!?」とカビの生えた熊手にドン引きのYさん。
「冷たい声で『これ持って帰りなよ。こんな熊手返納したら神様にバレて天罰が下るよ』と言われて、あぁ完全に終わったなと思いました」

たしかにカビている
Yさんはその後すぐ「ごめん、君と居たら福が逃げそうだから僕一人で熊手買いに行くね」と言い残し、雑踏の中に消えていったそう。
「今まで“奈緒美ちゃん”て呼んでくれていたのに“君”になってしまって寂しかったですが…熊手にカビを生えさせるなんて最低な事したから、ホントにバチが当たったんだなと思いましたね」
それ以来、パッタリとYさんから連絡は来なくなりました。もっとも、熊手のカビぐらいで離れていく男なら、もともとご縁がなかった気もしますが……。
「これは、ズボラで掃除をマメに出来ない私への神様からのメッセージだと思う事にして…あれから掃除を頑張っています」
「次の出会いこそ逃したくないんですよ」と、ため息をつく奈緒美さんの部屋の片隅には、紙袋に入ったままの熊手が置きっ放しになっているそうです。
<文&イラスト/鈴木詩子>
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漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:
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