「そうしたら、私が実家に戻って一週間経った頃にNから連絡がきたんです『希美が居なくなってから、おもちの元気がなくて食欲が落ちている』って」
心配になった希美さんは、彼のいる時間におもちちゃんの様子を見に行きました。
「1週間ぶりにおもちに会えてめちゃくちゃ嬉しかったですね…おもちは私にまとわりついて甘えてすごく元気そうでしたし、カリカリ(猫用ドライフード)も勢いよく食べていました」
Nさんは「本当にさっきまで元気なかったし、カリカリもほとんど食べなかったんだよ。やっぱ僕だけじゃ足りないのかな?」とばつが悪そうにしていたそう。
そして、希美さんが再び実家に帰ろうとすると…。

写真はイメージです(以下同じ)
「おもちが、自分のおもちゃ(棒に羽がついた物)をくわえて持ってきて“遊んでよ”っておねだりしてきて。しばらく遊んであげて、また帰ろうとすると、訴えかけるように私の目を見ておねだりしてくるんですよ」
おもちちゃんの、その必死に希美さんを帰らせまいとする姿に胸を打たれたNさんは、泣き出してしまったんだとか。
「そんなNを見て、私も込み上げてくるものがあり…私達3人はずっと一緒にいるべきだって気がつく事が出来たんです」
“子はかすがい”と言いますが、猫のおもちちゃんのおかげでNさんの優しさを改めて噛み締めた希美さん。
「その次の日にはこの部屋に戻ってきました。もう、おもちに心配かけないようにしないとですね(笑)」
2人は近々結婚するそうです。
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ペットにまつわる悲喜こもごも―
<文&イラスト/鈴木詩子>
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漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:
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