みかん、柿、りんご。美容・ダイエットにベストなのはどれ?
定番果物、どう選ぶ?
本格的な冬になりました。そんな時期の身近な果物と言えば、林檎(りんご)、蜜柑(みかん)、柿(かき)。どれもなんとなく健康に良さそうなイメージがありますが、美肌や便秘、ダイエットを考えた場合、体どれが良いでしょうか? また、気になる糖質はどれほどあるのでしょうか?
そんな疑問を解決すべく、今回は、冬の定番果物「りんご・みかん・柿」を徹底比較!それぞれのメリットや注意点などを整理してご紹介したいと思います。
食物繊維は若干優勢。アンチエイジングなどに寄与する「ポリフェノール」が豊富だが、その確かな機能性については未知。
まず、ダイエットを考える上で重要な栄養素、糖質量を比較してみましょう。
<糖質量>
りんご(皮つき) 14.3g(食物繊維量1.9g)
みかん(じょうのう) 11.0g(食物繊維量1.0g)
かき 14.3g(食物繊維量1.6g)
せんべい(醤油) 82.7g(食物繊維量0.8g)
3つの果物を食事以外のシーン(おやつ・食後など)で食べる場合、せんべいと比べると糖質量は圧倒的に少ないことが分かります。また、食物繊維量で比べると、りんごが若干優勢。つまり、皮つき林檎を食べる習慣は有効だということが分かります。
また、機能性成分として「プロシアニジン」をはじめとしたポリフェノールが約50種類含まれていて、基礎研究において、抗酸化作用(アンチエイジング)や皮膚でのメラニン生成抑制作用、脂肪燃焼を高める作用などが報告されています。ただし、ヒトでの有効性については十分なデータがそろっているわけではなく、プロシアニジンの吸収のされにくさなども指摘されていますから、確かな機能性を求めるのは、今後の研究に期待されるところのようです。
「1日1個のリンゴは医者を遠ざける」という格言がありますが、実は果物の中で圧倒的な栄養バランスを誇るわけではありません。
骨粗しょう症や2型糖尿病の予防として効果が期待されている、β-クリプトキサンチンが優位に豊富です。また、食べやすさの点から、1日3個でビタミンCがカバーできるため、美肌対策には手軽な果物と言えるでしょう。
多くの人にとっては、「みかん」が最も身近な果物かもしれません。みかんにおいて特筆すべきは、「β-クリプトキサンチン」。カロテノイドという物質の一種で、体の中ではビタミンAと同様の働き(発育の促進や、肌の健康維持、目や皮膚のの粘膜保護など……)をします。
この成分は柿やオレンジにも含まれますが、日本の温州みかんに特徴的に多く含まれるもの。国内において様々な研究が進んでいますが、静岡県・三ヶ日町の住民を対象とした栄養疫学調査から、「みかんを良く食べる人は、骨粗しょう症、2型糖尿病、脂質代謝異常症などの発症リスクが優位に低い」ことが示されています。つまり、加齢によって心配される上記疾患の予防のためには効果が期待できそうです*1。
その他、ビタミンCが32mg(/100gあたり)含まれているので、3個食べれば成人の1日推奨量をカバーできることになります。食べ過ぎると、糖質の摂り過ぎの他、皮膚が黄色くなる(乾皮症)につながるリスクがあるため、適量(3個)を意識して食べるのが賢明でしょう。
ビタミンC、β-カロテン、むくみ防止につながるカリウムは3者の中で最も豊富。つまり、ダイエットや美容で選ぶなら柿。その他二日酔い対策にも。
実は最も優秀だと思えるのが、柿なんです。ビタミンC、カリウム、β-カロテンの含有量が3者の中で豊富*2。
柿 りんご みかん
ビタミンC(mg) 70 6 32
カリウム(mg) 170 120 150
β-カロテン(μg) 420 27 180
柿は、“イチゴとみかんのいいとこどり”と言われており、柿1個(大)で1日分のビタミンCが摂取可能。抗酸化作用の強いカロテン(ビタミンA)、カリウム、便秘解消の食物繊維も豊富です。つまり、美容対策、ダイエット、風邪対策のためにどれか一つを選ぶのであれば、柿が正解。さらに、渋み成分「タンニン」には、二日酔いの原因となるアセトアルデヒドに反応して体外に排出する作用があるため、二日酔い防止にもなると言われています。
最後に、おいしく適量を食べることも重要なことだと思いますから、各フルーツの良いところをしっかり理解して、上手に食べ分けをしていくのが賢明かもしれません。柿にご縁がなかった人は意識的にチョイスしたり、ダイエットのためにリンゴばかり食べていた人は他に目を向けてみると良いかもしれません。
*1:健康に役立つβ-クリプトキサンチンのパワー(日本くだもの農協サイトより)
*2:文部科学省食品成分データベース
<文、写真/スギアカツキ>
⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
機能性は未知…①林檎(りんご)
手軽な美肌対策に②蜜柑(みかん)
最も優秀だった③柿(かき)
スギアカツキ
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12