桑原先生によると、「足の小指が薬指側に曲がっていたり、小指の付け根が張りだしたりしている場合は、『
小指の関節の変形』と『
内反小趾』の2つの可能性が考えられます」とのこと。
足の構造と崩れ(通回内)
足の指には、付け根側から基節骨、中節骨、末節骨と3つの骨があるのですが、小指の基節骨と中節骨を繋ぐ関節が靴の圧迫などによって変形すると、関節から先が、薬指へめり込むように曲がってしまいます。
この場合は、変形した関節をテーピングで正しい位置に固定したり、張りだした関節部分が靴と擦れないように保護するテープを貼ったりすると、症状が和らぎます。
対して「内反小趾」は、足の甲にある”中足骨”に原因があり、小指の問題ではないのだそう。さらに、「原因は3タイプに分かれ、それぞれに処置が異なります」と桑原先生。
外販小趾の原因3タイプ
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タイプ1:中足骨の張りだし
【原因】
中足骨の基節骨側が大きいことで、小指の付け根が張りだす。
桑原先生「これは生まれつきの特性で、外的要因によって起こるものではありません」
【処置】
手術で骨の張りだした部分を削る。
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タイプ2:中足骨の湾曲
【原因】
中足骨が湾曲していることで、小指の付け根が張りだす。
桑原先生「これも生まれつきの骨の形状で起こります」
【処置】
骨を切って向きを変えるなど、手術によって湾曲した基節骨をまっすぐにする。
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タイプ3:中足骨の開き
【原因】
骨格構造の崩れによって、小指の中足骨が外側へ開き、小指の付け根が張りだす。
桑原先生「骨格構造が崩れても指先の位置は変わらないので、中足骨が開けば開くほど関節に角度がついて、張り出しが大きくなります。
内反小趾の女性の多くがこのタイプです」
【処置】
テーピングや市販のサポーターなどで、中足骨が元の位置に戻るようにサポートする。このとき、小指も中足骨に対してまっすぐになるように固定する。また、インソールで崩れたアーチを持ち上げる。
中足骨部分をテーピングで締めて、小指をまっすぐに固定
「内反小趾」は、その言葉通りに小指が内反しているとばかり思っていましたが、中足骨の開きによって曲がって見えていたというのは、ちょっとびっくりですよね。
「『内反小趾』だと小指に原因があるように聞こえるから、症状のまま名付けるなら『アーチ潰れ中足骨外側せり出し』みたいになると思います(笑)」(桑原先生)
なお、外反母趾も原因は同じで、親指か小指かの違いだけだそうです。
気になりながらも見過ごしていた、足の小指のトラブル。たとえ痛みがなくても、“骨格の崩れの合図”となれば、放置しておくわけにはいきません。ただ、内反小趾のタイプ1やタイプ2の人がテーピングやインソールで対処しても治らないように、「まずは原因を見極めることが大切です」と桑原先生。
また、足の骨格の崩れが与える影響は小指に限ったことではなく、外反母趾や巻き爪、ハンマートゥといった足のトラブル、ひいてはひざや股関節の痛みなど、さまざまな症状を引き起こすそう。桑原先生曰く「
どこにいちばん大きなひずみが生じているかで、症状や病名が変わってきますが、その部分だけにスポットを当ててもダメ。根源から対処することで、初めて改善できます」とのこと。
足のトラブルは、多少違和感があっても歩けてしまうだけに、気づきにくい一面もありますが、何らかの異変を感じたときは、骨格から見直すと原因が見つかるかもしれません。
<文/千葉こころ>
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ビールと映画とMr.Childrenをこよなく愛し、何事も楽しむことをモットーに徒然滑走中。恋愛や不倫に関する取材ではいつしか真剣相談になっていることも多い、人生経験だけは豊富なアラフォーフリーライター。