――うがいはいかがですか?
大谷「
水うがいに関しては、ここ数年で『インフルエンザウィルスに効果的ではない』とされました。インフルエンザウィルスは早期に気道内に侵入するため、20~30分おきにうがいできる環境でない限り、意味をなさないというのが理由です」
先生は約10分おきに「お茶」を飲むそう。その理由は…?
――ヨード成分の入った「うがい薬」などを用いたらどうでしょうか?
大谷「喉に違和感があるなど症状の出ている時は効果がありますが、
予防として使うと、正常な菌まで殺してしまって逆効果になることがあります」
――では、うがいをしても意味がないのでしょうか?
大谷「風邪に対してですが、『ヨード液うがい、水うがい、何もしない』でそれぞれ予防効果を比較したところ、水うがいがもっとも効果的だったとの研究データが公表されています。
水うがいはインフルエンザ予防には効果がありませんが、風邪予防には効果的なので、したほうがいいです。
――インフルエンザ予防に効果的なうがい方法はありませんか?
大谷「
お茶に含まれるカテキンの殺菌作用がインフルエンザウィルスに有効との研究結果が出ているため、お茶でのうがいは効果があるという説もあります。とはいえ、こまめにうがいをするのはなかなか難しいので、私は10分おきくらいにお茶を飲むようにしています。
カテキンの作用ももちろんですが、喉が潤うことで繊毛の活動がスムーズになってウィルスを排出しやすくなったり、ウィルスがお茶と一緒に胃に入って胃酸で死んだりと、発症を防ぐメリットも得られますよ」
家庭内感染のリスクを下げるポイントは「2メートル」
――家族にインフルエンザ患者がいる場合、どうすれば感染を防げますか?
2メートル離れていればこんなことには…
大谷「いちばんは患者を隔離することですが、なかなかそうはいきませんよね。そのため、患者も家族もマスクを着用し、不必要に近づかないようにしましょう。
2メートルほど距離を取っていれば、咳やくしゃみからの飛沫感染をかなり防げます。
あとは前述の通り、こまめに手を洗い、タオルやマスクなどからの接触感染にも気をつけてくださいね。アルコールは接触感染のリスクを下げてくれるので、手荒れの心配がないかたなら、こまめに消毒するのもいいでしょう」
――日常的にできるインフルエンザ予防法はありますか?
大谷「インフルエンザ
ウィルスは乾燥すると活発になるので、湿度は常に50~60%に保っておきましょう。また、
こまめに水分補給をしたり、飴やガムなどで唾液を出したりして喉の乾燥を防ぐと、喉の免疫力が高まります。
ビタミンDはインフルエンザに対する免疫力を高めてくれるので、
毎日30分ほど日光を浴びたり、マイタケや魚、ヨーグルトなどを意識的に摂取するのもおすすめです。
あと、口腔内細菌が出すたんぱくが、気道に入ったインフルエンザウィルスの増殖を助けるため、
口腔ケアをしっかりおこなって、口腔内細菌を減らすことも大切です」
池袋大谷クリニック院長 大谷義夫先生
いかがでしたか? インフルエンザ対策、意外とカン違いしていた人も多かったのではないでしょうか。インフルエンザの流行期間は4月までと言われています。正しい予防方法で、この時期を乗り切りましょう。
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ところで、インフルエンザのような高熱はなく、微熱すらないのに、
地味に長引く咳に悩んでいる方もいるのでは? そんな方は大谷先生監修の書籍の中に答えがあるかも。実は、
長引く咳にはあらゆる原因があります。早期に自分の咳の本当の原因を知り、それに合った正しい対処法とセルフケアをして、咳の悩みから解放されましょう。
<取材・文/千葉こころ>
⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】千葉こころ
ビールと映画とMr.Childrenをこよなく愛し、何事も楽しむことをモットーに徒然滑走中。恋愛や不倫に関する取材ではいつしか真剣相談になっていることも多い、人生経験だけは豊富なアラフォーフリーライター。