一方で、メロディを生かしながら内容にも寄り添った結果、予想外の風合いが生まれた曲もあります。ギルバート・オサリバンの大名曲「Alone Again Naturally」を、なかにし礼氏(81)が訳詞した「また一人」(九重佑三子)は、歌い出しからして傑作です。
<In a little while from now If I’m not feeling any less sour>を、<私としたことが あなたに棄てられて>と歌うと、妙にクセになる。16分音符の軽やかさと、そそくさとした日本語のマッチングがユーモラスに響くのですね。ただ、これも王道のカバーと言えるかというと、ちょっと難しい。
最近ではテイラー・スウィフト(30)をカバーしたMACO(28)もいましたが、歌詞だけでなく音楽全体をグーグル翻訳したような無機質さに現代を感じたものです。