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佐々木蔵之介「自分の歩いてきた道のりは歪みであり個性」

 中井貴一さん演じる古美術商の則夫と、佐々木蔵之介さん演じる陶芸家の佐輔が、幻の茶器をめぐり一攫千金を狙ってコンゲーム(騙し合い)を繰り広げた『嘘八百』の続編『嘘八百 京町ロワイヤル』が公開中。  前作の堺から京都へと舞台を移し、冴えない骨董コンビが、人助けのためにと、ふたたび世紀のコンゲームに挑みます。
佐々木蔵之介さん

佐々木蔵之介さん

 最後の最後までどんでん返しが続く本作で、肝となる幻の茶器づくりに挑む佐輔に扮した佐々木蔵之介さんにインタビュー。作陶シーンの苦労や、中井貴一さんとのエピソード、本作に登場する「歪み」が魅力の茶器にちなんで、佐々木さんご自身の「歪み」についても伺いました。

続編決定にも「調子に乗ったらあかん」!?

――前作がヒットしての続編公開です。 佐々木蔵之介(以下、佐々木)「続編をやれるって、そうそうないですからね。可笑しく演じるのではなく、しっかり真面目に喜劇をやる。本作もその部分は貫いています。ただ前回は、とにかく時間がなくて撮り切ることに必死でした。『公開できて、あぁ、良かった』と。それでお客さんに観ていただいて、今度は続編が出来ると。『まさか!』ですよ。『調子に乗ったらあかんよ』と思いましたね(笑) ――前作はかなりの過密スケジュールだったそうですね。今作は内容もパワーアップして、撮影期間も前回よりは余裕があったのでは? 佐々木「4日だけ増えました。すごいパワーアップしたとか企画書には書いてあるかもしれませんが、相変わらず今回もキツかったですよ(苦笑)。武正晴監督は「まぁ、いいか」でOKは出さないんですけど、撮影は早いんです。それは、武組(※武監督のもとに集まったスタッフ、キャスト)は皆、プロフェッショナルだから。それぞれの役割を理解し準備して現場で全てを出し切る。集中してギュッとやれるいいチームです」 ――佐々木さんの演じた佐輔には、今回もがっつり作陶のシーンがありました。
『嘘八百 京町ロワイヤル』より

『嘘八百 京町ロワイヤル』より

佐々木「今回は蹴ろくろでした。佐輔は贋作を作ったり、写しをやったりしていて、くすぶってはいるけれど、腕は確かです。力のある本物の陶芸家だという説得力を持たせなければいけません。だから本当に大変なんですよ(笑)。今回も数ヶ月稽古に通いました。  前回の菊練りも大変でしたが、今回の蹴ろくろはもっと難易度が高かった。足は思い切りろくろを蹴りながら、指先は細やかに集中。窯で焼くシーンも、本当に熱いので、横にいた貴一さんは『こわっ!』となってました

第一線で居続ける中井貴一の存在の大きさ

――今作の舞台は京都でした。地元で撮影するというのは、気持ちが違いますか? 佐々木「こんなにも違うのかと(笑)。ホームと言うか余計な緊張をしなくていい。貴一さんもご両親が京都なので、僕と話すときは京都弁ですし、穏やかな雰囲気のなかで撮れたと思います。あと時代劇を京都で撮ったことはありましたが、現代劇の映画は初めてだったので、新鮮でもありました」 ――広末涼子さん演じるマドンナの志野が登場して物語が展開していきますが、佐輔と、山田裕貴さん演じる陶芸王子・慶太とのエピソードも印象に残ります。佐輔は慶太に大きな影響を与えますが、佐々木さんが影響を受けた先輩はいますか?
『嘘八百 京町ロワイヤル』より

『嘘八百 京町ロワイヤル』より

佐々木「自分の演技は、伝統芸能などの芸事とは違うので継承されるものでもない。新劇などの劇団に所属してもいないので、芝居に関して先輩から具体的に演技論を教わる事もないし、年下の役者に伝えるということもない。だから、なんとなく肌で感じるしかないのですが、貴一さんの存在は大きいです。舞台も映画もドラマもオールジャンルやられていて、お芝居も喜劇でも何でも、第一線でず~っとやってらっしゃる。  そんな貴一さんの現場での役者としての覚悟というか、在り方、居方みたいなものは学ばせていただいています。前作のときもそうでしたし、今回、続編というお話を聞いた時、『あぁ、また貴一さんのそうした姿を見られる』という思いがありました。しかも見るだけじゃなくて、一緒に芝居を交わせるわけですから。有難かったです」
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佐々木蔵之介が語る「自分の歪み」とは?
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『嘘八百 京町ロワイヤル』オフィシャルサイト
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