妊活の夫婦ギャップ。プレッシャーでED気味になると妻は…
妊活は夫婦で行うものですが、実際に自分が出産する女性と、自身は妊娠できない男性では、背負うものが変わってきます。その苦労は互いに理解しづらく、妊活が原因で夫婦仲を歪めてしまうこともあるようです。
大野智也さん(仮名・30歳)はまさにそんな妊活の真っ最中。子供が一人いるという大野さん夫婦ですが、現在は二人目の妊娠を望んでいるそうです。
「同い年の妻とは23歳の頃に結婚し、その一年後に息子が生まれました。30代を目前にした時、妻が二人目の子どもを望んだため、現在は再び妊活を始めることにしました。
でも、一人目の時のようにすぐには子宝に恵まれず、もう一年くらいタイミングを測ってみたのですがなかなか上手くいかずで……。最近は妻が妊活にセンシティブになってしまっていて、それでケンカになることもしばしばです。不妊を自分の体のせいにしてしまう妻のメンタルケアも僕の役目です。ケンカはしんどいけど、今は我慢の時かな」
思ったようなタイミングで妊娠できないことで、焦りやストレスを感じたり、自分を責めてしまう女性も少なくないでしょう。
妊活から1年、なかなか子宝に恵まれなかった二人にある問題が。
「実は、最近は僕の責任もあってなかなか妊活がはかどっていません。せっかくお互いにタイミングを合わせても、最後までできないことも増えてきてしまっているんです」
男性もまた、女性とは違う責任や苦悩を感じてしまうこともあるんですね。
「僕がED気味になり始めてから、妻はさらに妊活に責任を感じるようになってしまいました。そんな妻から先日、ささいな口論の末に言い渡されたのは『禁煙』でした」
「妻はいつの間にか一人で不妊のクリニックに行ったらしく、医者に僕の喫煙の有無を聞かれたそうです。そして、EDのリスクファクターの一つに喫煙があり、ED発症者には喫煙者が多いらしいという話を聞いてきて、僕のEDもそれが原因なのではないかというんです。
僕からすると、自分がED気味なのは、妊活に対するプレッシャーから来る精神的なことが大きいと感じています。正直、20代前半から喫煙してきた身としては、急に禁煙するとストレスもとても不安です。妊活と禁煙のストレス……正直耐えられる気がせず、今も妻に隠れてタバコを吸ってしまいます」
タバコの本数が多い人ほどEDのリスクが高くなるという研究が世界各国にある(※)以上、喫煙が不妊の原因ではないとは言い切れないものの、禁煙には乗り気になれないという大野さん。妊活から入った亀裂がさらに大きくなりそうな予感です。
妊活は夫婦二人で行うものなので、どちらか一方が我慢したり努力しすぎたりしてもうまくいきません。お互いの気持ちをなるべく伝えて、2人にとって大切なこと(それは子作りではないかもしれません)をすり合わせていきたいものです。
※「ED診療ガイドライン 第3版」(監修:日本性機能学会・日本泌尿器科学会)より
―シリーズ「親としてのエピソード集」―
<文/ミクニシオリ イラスト/ただりえこ>
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