「ファミリー層」は子どもがいる世帯を指してるみたい
子どもがいない人生を歩んでいかなければならない事実と、それでもやっぱり我が子を抱きしめたかったという想い。その葛藤は今も、美咲さんの胸から消えることはありません。

街でふいに見かける赤ちゃん連れの女性や親子連れ、三世代ファミリーを見るたびに心の中には、何歳まで続くのか分からない複雑な感情が芽生えるといいます。
例えば、日常で当たり前のように使われている「ファミリー層」という言葉に疑問を持ち、思い悩んでしまうことも。「過敏かもしれませんが、ファミリー層という言葉は子どものいる世帯のことを指しているように思えてしまい、
夫婦2人はファミリー層には当てはまらないのかなと、卑屈になってしまう自分がいるんです。」
近ごろは様々な家族の形が認められつつありますが、子どもがいない夫婦は「ファミリー層」としては見られないことも多いように感じます。
「
夫も、子どもがいなくていいと思えるまで4年かかりました。今でも、完全には吹っ切れていません。」
そう打ち明けてくれた美咲さんは現在、障害を持つ猫の魅力を発信したいと意欲を燃やしているよう。自分にできること、したいことを探す彼女の姿勢は同じような境遇で絶望している人の光になるはず。
美咲さんが同じ境遇の人へ送りたいという「一緒に人生の楽しみを見つけよう。仲間はたくさんいるもんね」というメッセージには、絶望を経験し、もがいた女性の強さがありました。
―シリーズ「
親としてのエピソード集」―
<文/古川諭香>
⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】古川諭香
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:
@yunc24291