
今までも、Eさんがふざけて洗ってない手で触ってくる度にムカついてはいましたが、最悪インフルエンザや風邪をうつされても、一週間程部屋にこもって治せばいいやと許してきました。
「ですが今回ばかりは許せなくて。もちろん、もしかしたら私の方が昼に行ったコンビニやスーパーで感染しているかもしれないし、手洗いうがいをしてるからって完全に感染を防げているとも思っていませんが」
毎日のようにニュースで新型コロナウィルスの怖さを目にし、大抵の人は少しでも感染する確率を低くしようと努力している中、いくら酔っているからといって、ふざけてそんな事をしてくる彼氏の神経を凛子さんは疑いました。
「もしEが感染していたら、ほっぺを触られなくても私にうつるんでしょうけど…そういう問題じゃなくて、そんな感覚の人とは一緒に居られませんし、Eに別れ話をして出て行ってもらう事にしました」
彼から合鍵を奪い、最低限の荷物を持たせて「新しい部屋が決まったら住所を教えて、そこに残りの荷物を送る」と言い放って追い出したそう。
「その時、まだ夜中でしたが思いっきり大掃除をしたら心が落ち着いて。もっとはやくこうすれば良かったと思いました。でも、私ってやっぱり神経質なのかな?と少し落ち込みましたね」
思い起こせば、東日本大震災と原発事故の後、「放射能に対する危機感」のズレで破局した夫婦が結構いましたよね。新型コロナでそんな事態になりませんように――。
<文&イラスト/鈴木詩子>
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漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。