70代夫婦がネット販売に挑戦。趣味をいかした楽しい商売のコツとは?
マイナス成長が続く日本。もはや、単身で老後までの資金を稼ぎ続けるのは苦しい状況に。その中で注目されつつあるのが、協力して副業で稼ぐ夫婦たちの存在だ。最新の「夫婦で稼ぐ」事情を徹底取材! 一家団結で令和を生き抜く新たな稼ぎ方に迫る。
70代になって新たな挑戦に踏み切った夫婦がいる。
「もともと20年近く、夫婦で協力して作った木製おもちゃやミニチュアをイベントで販売していました。ただ、だんだんと体に負担を感じるようになり、ほかの方法で発信できないかと思うようになったんです。そこで昨年、長女の手を借りて、夫婦でネットショップ『うらぼたん』をオープンしました。私が木工製作、妻が行燈(あんどん)の塗装や紙貼りのほか、サイト管理や発送などの事務処理、長女が広報と商品撮影をしてくれています」
そう語るのは岡山県の限界集落に住む西谷秀彦氏だ。
「50代半ばに体調を崩して会社を早期退職。それを機に自家用の農作物栽培や、以前から興味のあった物づくりに本格的に取り組むようになりました。そのうち、多くの人に楽しんでもらいたい思いから販売を始めました。価格は製作に掛かった時間などをもとに、これならお客さまも納得してくれるであろうと算出しています」
販売で得た利益は工房の経費を残して夫婦で分配、それぞれが趣味などに使用している。
夫婦で事業を始めるにあたって重要なのは「考えすぎずにまず歩きだすこと」だという。
「自分たちが挑戦してみたいことはまずやってみる。また、お互いに得意なことや好きなことを生かしてできることはないか考えてみることです」
そんな夫婦の生活信条は「陽気・のんき・元気」。ものづくりも農作業も体に負担のない範囲で楽しみながら取り組んでいる。
「年を重ねて視力や注意力が低下しました。それを補うためにも気づいたことは互いに指摘し合っています。意見が合わず衝突し、険悪な雰囲気になることもありますが、そんなときはとことん話し合って着地点を見つけます。とはいえ、できるだけ心穏やかに過ごしたいので、少々のことには目をつぶれば、揉めることもありません……」
いい作品を届けたいという思いは夫婦共通。「今後も納得のいく作品が作れるうちは頑張っていきたい」と語る。人生100年時代の生きた教科書だ。
―夫婦で稼ぐ!―
<取材・文/週刊SPA!編集部>
楽しそう!ネットで木工作品を売る70代夫婦
